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UK Report from Tomoko Mase in London 2001年3月まで掲載していたダイアリスト長谷川さんの友人であるタミーこと間瀬さんの、パワフルかつ洞察深いダイアリー。現在、音楽プロデューサーを目指してロンドン・カレッジ オブ プリンティングに留学中。 |
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| ああ、あこがれのファイヤーマン
取っ手が壊れているもんだから、ナオコさんがチェーンを結びつけて、なんとか引っ張って水が流れるようになっていたのだった。「これは、ヤバい!」タンクの中に手を突っ込んで思いっきり部品を引っ張った。すると、“ジャーッ”とかなりいい勢いで水が流れたので、ホッとして部屋に戻った。 しばらくして、窓の外を見ていると、2階の外壁から突き出た細いパイプから水が流れ落ちている。「水音も、また、風流じゃのう〜」などと、のんきに思っていたが、いつまで経っても音が止まない。だんだん不安になってきて、バスルームを覗いてみると、水洗トイレのタンクが溢れて床が水浸しになっていた。「あひゃー!!!」慌ててタンクの内部をいじっていると、なんとか水は止まったようである。床を雑巾で拭いて、一段落。 「さて、コーヒーでも飲むか」と1階のキッチンに向かうと、“ポタッ、ポタッ”という音が聞こえてくる。いやーな予感がして、1階のトイレのドアを開けると、やっぱり水浸し。そこはちょうど2階のトイレの真下にあり、板張りの天井の隙間から水が漏れていたのである。さらに、“ジジジ・・・”という音が。天井からの水漏れのせいで、電気の配線がショートしてしまっているようだった。しかし、私は電気屋さんではないのでどうしていいか全然わからない。私の脳は“水 → 時間の経過とともに空気中に拡散 → 乾く → 電気元どおり”という楽観的理論をうち立て、床だけ拭いてそのまま放っておくことにした。 ナオコさんとキッチンで話し込んでいると、「どうしたの、これ!」という声が。慌てて飛び出していくと、フラットメイトのキャシーとハリエットがトイレの前で立ちすくんでいる。「なんか焦げてるにおいがする!」ハリエットはキッチンから消化器を取ってきて噴射の用意。が、古かったので何も出てはこなかった。焦った私は、「上のトイレ、水漏れる、タンクあふれた! 下のトイレ、天井、水浸し!」とメチャメチャな文法で説明。キャシーは、「わかったわ。とにかく消防車を呼ぶのよ!」と999(イギリスでは日本と違って消防車を呼ぶのは999なのだ)に電話。3分後、消防車が到着。不安な眼差しの女子4人は、たくましいファイヤーマンの到着にホッとする。狭い階段を次々と上ってくる消防士たち・・・いつの間にか、通 路は8人のマッチョな男たちでいっぱいになっていた。 ハリエットとキャシーに状況説明を任せ、私はというと、うっとりとファイヤーマンの勇姿に見とれていた。何を隠そう、私は不特定多数ファイヤーマンの大ファンなのである。ああ、素敵。あの光るライン入りのブラウンの制服がすぐそこに・・・「写 真撮ってもいいかなあ?」とこっそり日本語でナオコさんに言うと「不謹慎です」。そりゃそうだ。 消防士たちの間をうろつきながら、グっと幸せを噛みしめている私をよそに、「ブレーカー落としていくから、明日電気屋を呼んだ方がいいよ」と言って、彼らは去っていった。あこがれのスターに会ったような崇拝と感動の余韻にぼーっとする私。「そういえば、ナオコの友達に電気技師がいたじゃない。電話してみてよ」とキャシーが言う。ナオコさんは“休みの日に呼び出せるほど親しいわけではないのに・・・”という心中であった(と思う)が、仕方なく友人の電気技師ベンを呼ぶことになった。そして、7時頃彼が到着。早速、電気を見てもらうと、「うーん。ほっといてもダイジョウブだよ。気になるんだったら、配線直してもらったほうがいいかもしれないけど・・・」。結局、私の“乾けばオッケー”理論は正しかったのだ。せっかく来てもらったベンをそのまま返すわけにも行かず、近くのインド料理屋で、彼にごちそうしてあげることに。20ポンド(約3,500円)の出費で火事騒動は幕を閉じた。 あれから1週間。消防車のサイレンが聞こえるたび“あのとき”の興奮と感動を思い出して、私は心の中で「がんばって!」と小さくエールを送るのであった。
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ナマ情報に触れられると大好評のワールド・ダイアリー。読者の方の声を聞いて、より掘り下げた記事をお送りするため、みなさんからの感想を募集中です。「今回のダイアリーのこれがとっても面 白かった」とか「イギリスのこんなこと、知りたい」といった質問も含めて、どしどしお送り下さい。 |
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編集 荻村 |
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