留学


Starting Out in London
社会人留学 ロンドンの第一歩

UK Report
from Naoko Hasegawa in London

編集者人生を一時棚に上げ、視野と経験を広げるために大学院留学を決行するも、予想外のハプニングに右往左往!

ケンさんとアキコさんの話 続編

このお話は前に書いた「ケンさんとアキコさんの話」の続編です。初めてアクセスした人は、そちらから読んでください。

なにゆえ「眉毛落ちそう」かというと・・・ある朝のこと。ケンさんが出勤のために家を出た直後、アキコさんは家の中で、前の路上のなにやら尋常ではない物音に気づいた。窓の外を見るとケンさんが見知らぬイギリス男にボコボコにされてる、大変!「police呼べー!」叫ぶケンさん、「policeね!・・・って110番?」違う、アキコさん、イギリスでは「999」。で、その場は周囲の協力などもあり、大事にはいたらず何とか収まったのだが、その暴力イギリス男は通り魔ではなく、実はケンさんのノルウェイ人の元GFの現在のBFであったのだ。

ここで話は、数年前、トピックスは「squat」に戻る。なぜケンさんが、そこに「squat」するに至ったかというと、そこは、Brixtonにある、元GFが借りていたカウンシルフラット(公営賃貸住宅)であり、ケンさんはそこに転がり込む形で一緒に住み始めた。しかし、ある日、そのノルウェイ人の女の子は「Betty Blue」さながらご乱心、自分の家の中に火を点けてしまったのだ。幸い、その場にいたケンさんが、消し止めたのだが、もちろん彼女は精神病院送りに。退院してからは、ノルウェイに戻って、療養することになった。そういうわけで、正規の支払いをすべき人間は消えてしまったのだが、とにかくケンさんはそこに居座ってしまったのである。「退去命令」の手紙はカウンシルから来るらしいのだが、イギリスの政府機関は日本以上に重層的な官僚構造だから、地方自治体の管理システムなんか穴だらけ。メールは送るが、担当者が見にくることもなかったそうな。そういうわけで、その後、ケンさんはその環境に「squat」して住み続け、そこにアキコさんが結婚準備のためやってきたのである。

そんな折りもおり、元GFが現BFと一緒に、舞い戻ってきたのだ。元のロンドンの家に住むために。しかもボロボロのフォルクスワーゲンのワゴンで、数カ月かけてノルウェイから陸路をひたすら走ってきたのだ。大型犬3匹とおうむ1羽を乗せて。

着いていきなり、ケンさんに殴りかかった暴力イギリス男は、その後もケンさんが出勤後に、家のドアを蹴破って侵入、アキコさんを壁に突き飛ばすなどの狼藉。気丈なアキコさんは「あなたの彼、止めてよ!」とノルウェイ人の彼女に叫ぶも、「彼はBritish punkだからしょうがないの」ってなこと言われる・・・などもあり、さすがにケンさんも「もうオレ、ひとりじゃないから」と、そこを脱出して、新たな場所に移ることを決めた。しかし、展覧会のために家で作品を制作していたケンさんは「とにかく作品を搬入するまで」と説得し、展覧会初日を迎えたのだった。

私たちは、その展覧会初日の夜、会場近くでChineseを食しながら、「だから明日の朝、なにが起こるかわからないのよねー」という、「進行中の話」を聞いたのだ。が、ほかにも、「ウェディングドレスを受け取りに出かけて、帰ってきたら、殺人があったみたいで、家の前の道が封鎖されててね。ポリスにドレス見せて説明して、やっと家に入ったのよ」とか、「この間、路上で携帯電話盗まれた。それも、通話中に。普通やる? そんな盗み方」とか、ラフなエリアとして有名なBrixton(最近、トレンディっぽくもある)っぽい話が続出で、住み始めたばっかりでこんなこと続いたら、眉毛も落ちるよ。

後日談。二人はやはりその翌日、ケンさんの出勤後に現れた。アキコさんは果敢に「ウチには猫がいるし、犬3匹と一緒に住むなんて不可能」と、ノルウェイ人と交渉し、彼らを家に入れなかったらしい。が、家の外に「Akiko is liar」って落書きされたのだと。数日後、アキコさん&ケンさんカップルは、そこを脱出した。で、ノルウェイ人&暴力男カップルは、そこに住んでるのかな?「ううん。私たち同様、そこに住んでて、あの二人のせいで、出なきゃならなくなった人たちがいたのよ。彼らが、悔しいからって、どこかからの移民を後がまに入れちゃったらしいから」という。ここまでくると、そのノルウェイ人&暴力男カップルに情が移る。なんか、タランティーノ映画に出てくる、ダメな悪人そのものじゃない。このダメカップルのほうを主人公にして、できるよ、映画。映画化権、買いたい人がいたら、ご連絡ください 。


●Language Box●
眉毛:an eyebrow
通り魔:a phantom killer
泥棒(盗む人をさす場合):thief
殺人犯:murderer


image UK Report
from Naoko Hasegawa in London
長谷川直子 
60's東京生まれ。デザイン誌の編集者として約9年の激務を経て、99年12月に本格的に渡英。現在London College of Printingで「Enterprise and Management for Creative Arts」(デザインマネージメント)MAコースを履修中。
編集 萩村

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