留学


Starting Out in London
社会人留学 ロンドンの第一歩

UK Report
from Naoko Hasegawa in London

編集者人生を一時棚に上げ、視野と経験を広げるために大学院留学を決行するも、予想外のハプニングに右往左往!

 

初めての遠足:ダンジネス編

ヨーロッパ大陸に向かって建つ集音壁Mirror。3タイプのものが建つのは世界でもここだけ

仕事仲間で、西村佳哲さんという人がいる。「働き方研究家」という肩書きで、デザイン系雑誌に寄稿したり、大学での講師や某有名オシャレ系ショップの就労規則作成など活動はユニークかつ多方面。早い時期からインターネットのメディアとしての(e-commerceではない)可能性に注目して、sensoriumという素敵なウェブを制作し、海外のマルチメディア系の賞をかっさらったり、さらには「音」をテーマにしたSound ExplorerSound Bumといったウェブをつくって、西表島や、フィジーの海、アラスカに出かけて、自然や街の中の音を収集しつつ、ときにカヤックで海上を漂流・・・なんてこともされている。生きる「ハートカクテル by わたせせいぞう」(10、20代の方、わからない例えでゴメン)と形容される、爽やかで柔らかな物腰のなかに、骨太なアイデアと鋭い知性と行動力を秘めた、とにかくカッコイイ人なのだ。その西村さんから「ドーバーに近いダンジネス(Dungeness)ってところに第二次世界大戦前、イギリスが敵軍情報収集のためにつくった集音壁ってのがあるらしいんだけど、探せないかな? そこで海の向こうの音を聞けるようだったら、リスボンに行く帰りにイギリスに寄る」ってメールが来た。

image
左右方向と上下方向に緩やかな弧を描くMirror。この壁に反響した音をマイクで拾い、四角い孔のところの後ろに、音を聞く人が座っていたらしい。手前は、Gould さんから事情を聞く西村氏とたりほ嬢
面白そうやん! ってことで探査開始。ロンドンから南西に約100キロ、ドーバー海峡に角のように突き出たダンジネスのツーリストインフォメーションなどに電話し、何件か情報リレーをした結果、「Mirror」と呼ばれる集音壁がとある企業の私有地内に現存することがわかり、私たちはその会社の許可を得て、現場に入れてもらうことになった。
ダンジネスに行くのは私は初めてではない。そこには映画監督デレク・ジャーマンが、その死の直前まで住んだ家があり、彼は家の周囲につくったgardenを1冊の写真集にした。私は、初めてイギリスを旅行したとき、電車とバスを乗り継いで、そこを見に行ったのだ。妙なところで、玉砂利だらけの平坦な土地、そしてほとんど高低差がない遠浅の海、手前の陸地に木造の船が置き忘れられ、古い灯台、ぽつぽつと建つ小さな人家に灯りは灯るが、なぜか人気が感じられない。背後では原子力発電所の巨大な施設が静かにライトアップされて稼働している。ジャーマンの家にたどり着くまでもなく、場所自体が「彼岸」の世界だ。夏には、ここに至る唯一の交通手段である小さな蒸気機関車(大人がようやく内部に座れる大きさ)が、物好きなツーリストを運ぶが、冬は車以外の交通手段はない。ロードマップを見ると、空白の中、発電所のあたりがDanger Zone と記されている。

そういうわけで、今回はレンタカーで行った。イギリスに来て以来、初の運転。でも、左側通行なので怖くない。ロンドンから3時間、西村さんとパートナーのたりほさん、音づくりを学ぶ、先々週までのコーナー代筆者タミーも同行して、みんなの多重音声ナビで無事現地到着。土地を所有する会社の担当者、Gouldさんは、さっそく私たちを、砂や砂利の山のはるか奥にある現場まで車で連れて行ってくれた。その後、壁に近づくには徒歩。2週間前、イングランド南東部は大雨が降ったお陰で、「Mirror」周辺は水浸し。私たちはたじろいだが、水鳥には天国だ。誰もいない場所に水鳥と私たち、近隣の飛行場に離着陸する自家用セスナ機だけが動いている。水と低い棘のある草木を避けて歩いていった先に、朽ちかけた巨大なコンクリートの固まり「Mirror」はあった。
親子のように見えるパラボラ型Mirror2機
レーダーが開発される以前の1930年、ヨーロッパ大陸に向かって、この3つの壁がつくられた。パラボラアンテナ状、緩い弧を描く壁、その音が集まるところにマイクを仕込み、壁の下に人が座る小部屋があり、そこで海の向こうから聞こえてくる音をキャッチしていた、という代物だが・・・はたしてこれが役に立ったのかは、大いなる疑問。マイクはさすがに取り払われていたから、当時の形とは違うにせよ、そこに立っても、遠くから何かの音が聞こえたかというと、すごくquiet。アイデアおよび形態的にすごく「わかり易いモノ」なので、これで、本当に音が聞こえるなら、紛れもなく「素晴らしい」が。 実際、1935年には、本当のレーダーが実現し、この施設は用済みになったらしい。西村さんが聞いたところによると、当時のイギリス軍には、軍備整備のための研究機関があったそうだが、そこは「本気なワケ?」という、素っ頓狂な軍事施設を次々作り出していたそうで、これもそのひとつだとか。やっぱりイギリスってなんか可愛いというか、憎めない国というか、いい加減な国とも言える。

ちなみにここで西村さんが採取した音は、前述のSound Bumで12月末、「リスボン」編のおまけとしてアップロードされる予定なので、ぜひそちらにアクセスしてみてください。




●Language Box●
漂流:drifting
原子力発電:nuclear electric power generation
軍事施設:military facilities


 ・過去のUKの日記を読みたいなら。


 ・留学したい人集まれ。

image UK Report
from Naoko Hasegawa in London
長谷川直子 
60's東京生まれ。デザイン誌の編集者として約9年の激務を経て、99年12月に本格的に渡英。現在London College of Printingで「Enterprise and Management for Creative Arts」(デザインマネージメント)MAコースを履修中。

編集 萩村


あなたならどこを選ぶ? 英語圏ワーキングホリデー4カ国、国別徹底比較!

基本情報

イベント情報

海外で暮らす体験談

留学に関するイベント情報をチェック。

詳細を見る

海外を知る・聞く

海外体験談!

留学体験談

先輩達のリアルな留学体験談を読もう。

詳細を見る
海外滞在者ブログ!

海外滞在者ブログ!

世界各国の生の情報をゲットしよう。

詳細を見る

お役立ち情報

リンク集

リンク集

情報収集のためのサイトなど、留学・海外生活に関するリンク集。

詳細を見る
留学に必要な英語試験

留学に必要な英語試験

TOEFL、IELTSなど、留学に必要な英語試験をチェック!

詳細を見る
海外スクールサーチ

海外スクールサーチ

自分に合った海外の語学学校、大学&カレッジ、中学&高校を探そう。

詳細を見る
トラベルイングリッシュ

トラベルイングリッシュ

毎日5分、さまざまな場面のトラベル英会話を学ぼう!

詳細を見る