留学


Starting out in London
社会人留学 ロンドンの第一歩

UK Report
from Naoko Hasegawa in London

編集者人生を一時棚に上げ、視野と経験を広げるために大学院留学を決行するも、予想外のハプニングに右往左往!

 

ここはズサンの国? イギリス

ロンドンに住み始めて9カ月、そろそろ不満もうさも溜まってくるのだが、ホント、この国は「ズサン」。で、先週もそのズサンな話のひとつがニュースになった。

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今日も出てます、「no train」のお知らせ
日本に伝わったかどうかわからないけど、ロンドンの北の玄関口キングズ・クロス駅からリーズに向けて走り出した列車が、ロンドンからおよそ100 km 北のハートフォード付近で脱線。死者4人、負傷者数十人を出す事故が起きた。

「え、また?」と思ったあなたはイギリス通。そう、去年の秋にも、脱線事故があったのだ。去年のは、いま私が住んでいるところから比較的近いラドブローク・グローブ付近で、パディントンから出発した列車が脱線炎上、これは30人以上が亡くなる大惨事だった。このときはちょうど、留学準備の下見のためにロンドンに一時滞在中で、友人宅に居候しながらニュースを見ていたのだが、空から墜落するわけでもない電車に、なんでこんな惨事が起こるのか、私には理解できなかった。友人の解説によると、イギリスの長距離列車はディーゼルエンジンで走ってるので、脱線して、ヘタすりゃこういう火災も発生する(なんかこの解説もズサンな気が・・・)らしい。

そして、その記憶も生々しい1年後、「また!」である。お決まりのテロ説も一瞬出たりしたのだが、結局、落ち着いたところはレールの部材が疲労しており、列車の荷重でヒビが入っていたところが完全に壊れた、ということらしい。しかも壊れた部分のレールは掛け替えられて、たった5年しかたっていなくて、事故の1週間前に係員のチェックを受けたばかり、というのだから、ズサンでしょう?

ニュースによるとこの手の事故は、実は去年だけじゃなくて、1997年にも起きているらしい。ニュースの解説の人は「鉄道会社の民営分割化で、安全管理が細分化されてしまい・・・」とシタリ顔で話しているけど、私に言わせれば「それはすべてズサンな国民性のせいちゃう?」と思うのだわ。

っつーのも、たとえば、開館のときに紹介したテート・モダン前にかかるミレニアム・ブリッジは、開館の時期に合わせて開通するはずだったのが、「揺れた」という理由でいまだ開通せず。もうひとつのミレニアム企画の観覧車ロンドン・アイだって、お正月には回るはずだったのが、結局、遅れに遅れて2月スタート。論文出せてない私に言われる筋合いもないけど、重要なイベントをことごとくハズしまくり。日本の人だったらがんばるよね? 間に合わそうって。

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そして、券売機が全部釣り銭切れのために、今日も窓口に向かって静かに列をなすロンドナーの皆さん(ホルボーン駅で)
だいたい、列車だけじゃなくて、ロンドナーの最大の足、地下鉄だって、全然信用できたものじゃない。駅は突然予告なしにクローズになるわ、「エレベーターの掛け替えで2週間、ビクトリア─ブリクストン間、不通になります」なんて、東京でいえば「大手町から中野まで、東西線2週間不通です」っていうようなもんだけど、そんなこと、日本じゃないでしょう、滅多に。でも、こっちはあるのだ。

乗ってた地下鉄が、突然ある駅で、「この電車は当駅止まりになりました。Change, please.」なんていうのも日常茶飯事。ロンドナーはそれに慣れているので、舌打ちひとつで、さっさと降り、違う交通手段を探すか歩くかする。日本のように駅員に詰め寄ったり、情報を聞こうとする人はいない。駅員も知らないことが多いし、知ったからってどうにもならないからだ。日本では、車やタクシーより、電車のほうが確実に時間通りに目的地にたどり着けるが、ロンドンでは違う。結局、大抵の場合、1時間以内で復旧するので、きっと問題は大したことではないのだ、たぶん。「なにがなんでも、キッチリ電車を運行させよう」っていう意識は、日本より低いので、すぐ「止めちゃえ」「閉めちゃえ」となるのだ。

一事が万事こんな調子だから、「トウキョウで、こんなこと滅多にないんだよ。駅がクローズになったら、テレビのサブタイトルに出るし、ニュースで流れるんだよ」ってロンドナーに教えると、「ホント?!」って驚かれるのだ。トホホホ。


●Language Box●
ずさんな:faulty, careless
うさ:melancholy
脱線事故:derailment
負傷者:an injured person(単数)/the injured(総称)
記憶に生々しい:fresh in one's memory
民営化:privatization
したり顔で:triumphantly
舌打ちする:cluck one's tongue 「ちぇっ」:tut/clack


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from Naoko Hasegawa in London
長谷川直子 
60's東京生まれ。デザイン誌の編集者として約9年の激務を経て、99年12月に本格的に渡英。現在London College of Printingで「Enterprise and Management for Creative Arts」(デザインマネージメント)MAコースを履修中。

編集 萩村


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