海外で暮らす


Ireland Diary
アイルランド・ダイアリー

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Ireland Diary
from Kyoko Odamura

「一度しかない 人生、これでいいのか」と一念発起。今ではアイルランドで企業勤務とフリージャーナリストの2足のわらじを履き活躍中。

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映画撮影

金曜日の夜、アイルランド人の女優、レイチェルが電話してきた。
明日の朝、映画撮影があるので、記事にしたかったら見学においでよと言う。願ってもないチャンスと、二つ返事でOKした。

 指定された場所は、ダブリン港近くのおしゃれなカフェ。私がそこに着いた時、監督兼カメラマンのグレアム、主役のレイチェル、恋人役のオリヴィエ、カフェオーナー役のシミ―の4人は、既に撮影に入っていた。『E’tranger』というこの映画、会話の多くがフランス語でなされる。ここで簡単に、ストーリーラインを追ってみよう。



 フランスでマフィアグループの一人が、重要な情報が入った鞄を持って消えてしまう。彼がアイルランドへ逃げた事までは調べがついていた。その情報が利用される事を嫌ったマフィアは、殺し屋をアイルランドに送り込む。英語が下手な殺し屋はダブリンにやってきたものの、道を聞くのも一苦労。ふと入ったカフェで、ウェートレスに道を聞いた事がきっかけで、二人は恋に落ちるのである。ウェートレスのレイチェルは貧しいが、心のきれいな女性。一方、オリヴィエはずっと裏街道で生きてきた殺し屋だ。そのオリヴィエがレイチェルと一緒になる為、堅気になる決心をするのである。

 ところがそうは問屋がおろさない。怒ったフランスのマフィアは、オリヴィエを消す為に殺し屋を送り、その抗争に巻き込まれたレイチェルは殺されてしまう。絶望と憎しみの虜になったオリヴィエは、結局、フランスのマフィアを皆殺しにして話は終わる。

 撮影後、監督のグレアムに話を聞いた。ストーリーもシナリオも全て彼の担当だ。

「この映画のスタッフは半分がオリヴィエのようにフランス人、残りの半分がアイルランド人だ。一見、暴力的な映画の印象を受けるかもしれないけど、それは正しくない。僕はこの映画にあるメッセージをこめているんだ。つまり、悪から遠ざかれ、人生は一度きりだぞっていうメッセージをね。オリヴィエも過去の汚れを捨てて、出直そうとしたけど、結局は人殺しの道を選んでしまうだろ。いったん悪に手を染めると、出直すのは大変だという事を、若者たちにわかってほしかったんだ」

 グレアムはまだ駆け出しの若い監督だ。これが彼の初の長編映画になる。映画の出演者全員は無給で参加している。この映画がリリースされ、収入が上がれば、それを皆で分ける仕組みになっている。この方式は監督が駆け出しの場合、よく取られるらしい。

流暢な英語を話すオリヴィエも、明るいレイチェルも皆、楽しみながら演技ができたと話してくれた。アイルランドの映画界はまだ新しい。ここ数年で、若手の監督がどんどん出てきている。

この夏に公開されるという『E’tranger』。早く見てみたいと思う。


Ireland Report
From Kyoko Odamura
織田村恭子
さんのプロフィール

経済学部卒。日本のソフトウェア会社でプログラマー、
営業企画として勤務。1991年からはダブリンの日系企業にて勤務。 同時にフリーランスのフォトジャーナリスとして日本の出版社やダブリンの英字新聞へ寄稿中。

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