Ireland Diary
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| アイルランド幽霊物語
私自身には幽霊に会った経験はいが、幽霊の存在はアイルランド人の生活に深く入りこんでいるようである。国自体の歴史が長く、古い建物が多いことも原因しているのかもしれない。 ダブリンから車で1時間半行ったところにキルケニーと言う、美しい中世の町がある。週末、泊りがけのデートコースとしても人気のある町だが、一方で町の真ん中に位置するキルケニー城には忌まわしい話もついて回っているのである。 城に入ってまず目につくのが、キルケニーマーブル(大理石)で作られた大きなテーブルだ。これはこの城が、まだ住居であった時代に、通夜の夜、遺体を一晩寝かせる目的に使われていたものである。ある晩、酔っ払ったゲストの一人が、酒の酔いも手伝ってか、ふざけてそのテーブルの上で寝込んでしまった。翌朝、発見されたゲストはテーブルの上で冷たい骸になっていた。それ以来、生きている者では誰も、そのテーブルに寝ないようになったと言う。 会社の同僚が、飲み会の席で教えてくれた話を二つ。 ダブリン市の中心にある教会の中にブラック・チャーチと呼ばれているものがある。真夜中にこの教会の周りを3回、回ると悪魔に出会うと言う。 もう一つは北ダブリンのフィングラスに昔あった教会―今はもう取り壊されているーでは、真夜中にそこに行くと、馬に乗った首のない騎士に出会うというものである。
アイルランド中に古い教会や城があふれているが、幽霊話を拾っていくと、きりがない。もちろん中には明るいイメージしか湧かない、美しい城もある。ウェクスフォードにある聖ジョンズタウン城などは、その例であろう。広い敷地に広がるこじんまりした城は、かつての繁栄を思わせるかのように、堂々とした表向きの裏には、品のよい人工池やプチ・シャトーも造られている。 だが一般的に、城には何故か不思議な雰囲気が漂っている。権力と欲が絡み合う閉ざされた世界の中で生き、この世を去っていった人々の思いが、城の中に残っているのだろうか。
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