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赤ちゃんが来た!出産編 5月5日子供の日。早朝、陣痛が始まった。「男の子の日に女の子が生まれちゃうかな」、と考えたのも束の間。朝食の途中で我慢できなくなって、タクシーを呼ぶ。「私のときは深呼吸で楽になったよ」という女の運転手さんに励まされながら病院に到着した。さっそく夫とともに分娩室へ。午前11時頃だった。 「あなたを受け持つヘレンです」という助産婦さん。「見習い助産婦が付き添うので歩いてお産を進めましょう」。というわけで、廊下を歩きながらおしゃべりを始めた。「産まれるまでどのくらいかかるんですか」「そうね、午後7時ぐらいまでには」。えー、あと7時間も苦しむのか。ところがこれは人によって違うみたいで、私の場合赤ちゃんが下りてくるのが早かった。
産後3日目
午後2時前には進行期から移行期に入った。「今晩デートだから私は2時で非番なの。それまでに産まれるようがんばって」と見習いさん。初デートで相手はロンドンに住むフランス人、といったことを事細かにおしゃべりしてくれる。私の気を紛らわすためだったのだろう。でも、私はどんどん痛くなって話せる状態ではなくなっていった。ちなみにこの時夫は横にいて「がんばって」を連発してくれた。しかし頼りになるのは見習いでも経験のある助産婦さん。私は彼女の手をひたすら握り、夫の方を振り向く余裕もなかったのだった。ごめんね。 ヘレンがやってきて、いよいよ赤ちゃんを出すことになった。ここからちょっと手間取ってしまい、見習いさんはデートのために交代してしまった。結局産まれたのは2時56分。いままでの痛みが嘘のように消えて、オギャーという声とともに赤ちゃんが現われた。ここで夫が感想を一言。「出産って体育会系だ」。本当に、気力、体力、精神力だった。
さて、ここからがアイルランドらしい話。 日本だと「分娩室で1、2時間休んで病室へ」とものの本に書いてあった。出産から数分後に夫が電話をかけに行った途端、別 の助産婦さんがドタドタと入ってきた。「次の人待ってますから、病室へ移動して」というわけで車椅子に乗せられ、赤ちゃんを膝に置いて即移動。ベッドに寝かされて「これで一休みか」、と思うと「授乳してください」。次は「シャワーに行って」、「おしめ交換室まで赤ちゃんを連れて行って」(赤ちゃんは新生児室に入らず、母子同室だった)。体力が自慢の私もさすがに参った。日本では入院1週間が標準らしいが、アイルランドだと初産婦で3日、経産婦だと翌日退院のこともあるとか。やはり体のつくりが違うのか。 入院中に悩んだのが母乳の出。赤ちゃんがようやく寝込んだ明け方に一人で泣いていると、同室のお母さんが枕元まで朝食を運んでくれた。自分も産んだばかりなのに。「私も一人目のとき母乳が出なくてね。気持ちはよくわかるわ。でもほら、ちゃんと食べなさい」外国で夫と二人きりの子育て。これからどうしよかと思っていた私には、彼女の親切が心に染みたのだった。
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