海外で暮らす


海外駐在 アイルランドに暮らして
第五回: 「マイホーム大作戦 その1」

Ireland Report
from Rieko Yamashita in Dublin (March 31st, 2000)

家も買ったし、次は子育て。アイリッシュダンスに魅せられてこの地に住み着いた日本人がダブリンの暮らしをレポート。
「写真は我が家の前にて。左から友人、私、夫。
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私はアイルランドに来てから3回引っ越しをしている。

5年前大学院留学のためにアイルランド行きを決めた私は、最初は「大学寮」を考えていた。私の通 った大学には近代的な寮がある。一人一部屋で、台所と浴室を二人で共有する。料金も一週間六千円ぐらいで妥当だ。ただ、部屋に電話が取り付けられず呼び出しとなる。翻訳の仕事をファックスで日本から引き受けるつもりだった私には不都合だった。

そこで、大学の近くに同じぐらいの値段の住居を探した。通常学生が住むのは、寮、シェア(家などを共同で借りる)、ベッドシッター(寝室・居間兼用の貸室)など。私はベッドシッターを選んだ。ベッド、机、洋服ダンスといった家具は一応ある。ただし、安い(月約1万7千円)だけあってどこかから拾ってきたようなガラクタだ。トイレとコイン・シャワーは共有だった。貧乏生活覚悟で来た私には、打ってつけの住居だ。家具が壊れたり(洋服ダンスが倒れてきたときには驚いた)、寒くて毛布にくるまって寝たり。なんとか凌ぎながら、ここには1年間居た。


「そろそろ人間らしい生活がしたい」と思っていたころ、友人の友人が一軒家をシェアする人を募集中という話が舞い込んだ。アイルランド人とフランス人が共同で一軒家を購入したのだが、一部屋空きがあるので貸したいというのだ。場所はダブリンの下町で、大学からも遠くなかった。古いレンガ造りの二階建てタウンハウス(隣家と共同壁で繋がっている)の内装を改造したなかなか洒落た家だった。何よりも気に入ったのは、南欧風の家具でまとめた広いキッチンと明るいバスルーム。これで月2万円強というのは確かに安い。アイルランド人の方は、ダブリンの郊外に実家があってたまに泊まりに来るだけだった。だから、たいてい家にいるのはフランス人の女性と私だけ。二人で四部屋もある家を独占するのだから快適である。こうしてあっという間に2年間が過ぎていった。 image
ダブリンの山下家
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変化が起こったのは、1998年1月だった。家主の二人がケンカして、フランス人が家の権利を放棄することになったのだ。代りに住むことになったアイルランド人の夫婦は、家賃を多めに払うので私には出ていってほしいという条件を付けた。「だから1月末で引っ越してほしいの」、と申し分けなさそうに家主さんに告げられたのだった。困ったことに、この頃からアイルランドはどうしょうもない土地バブル状態に突入していた。町中の狭いワンルーム・アパートの家賃が約月8万円。東京と大差のない相場である。ベッドシッターやシェアでも家賃は跳ね上がっていた。一軒家での快適な生活に慣れた私は、今さらベッドシッターに戻る気もしなかった。

こうして私の「マイホーム大作戦」が始まったのだった。

 ・過去のアイルランドの日記を読みたいなら。
 
Ireland Report
from Rieko Yamashita in Dublin
山下理恵子 
95年ダブリン市立大学の修士課程でコミュニケーション論およびカルチュラル・スタディーズを学ぶためにアイルランドへ留学。昨年アイルランドで結婚、現在妊娠7ヶ月。アイルランドで出産しようと準備奮闘中。


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