海外で暮らす


海外駐在 アイルランドに暮らして
第四回:アイリッシュ気質

Ireland Report
from Rieko Yamashita in Dublin (March 31st, 2000)

家も買ったし、次は子育て。アイリッシュダンスに魅せられてこの地に住み着いた日本人がしっとりしたダブリンの暮らしをレポート。
「写真は我が家の前にて。左から友人、私、夫。
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アイルランドの風土についてはすでに紹介したので、今回は「アイルランド人」について書いてみようと思う。

アイルランドといえば最近の世界的な「ケルト・ブーム」で注目を浴びているが、ケルト人以前にも先住民が住んでいて、ピラミッドよりも古いとされるニューグレンジの巨石墳などを残している。好戦的とされるケルト人は紀元前8世紀頃からローマ人との戦さに破れるまでヨーロッパ大陸で優勢を誇っていた。その一部が海を渡ってアイルランド島にたどり着いた。ケルト人の他にもアイルランドに渡った民族がいる。ヴァイキングは8世紀頃から侵略を始めて、首都ダブリンがある東海岸で隆盛を誇った。やがて12世紀頃からノルマン人が侵入し、さらに英国王も介入した。だから、現在のアイルランド人にはケルト人とその後の侵略者たちの血が混じっているといわれている。

さて、そのアイルランド人の気質について。「陽気」、「酔っぱらい」、「貧しい」とどうもステレオタイプ的なイメージがつきまとう。1845〜49年の大飢饉によって、アイルランドから多くの人が移民した。飢饉の直接的な原因はジャガイモ凶作だが、実は当時アイルランドを支配していた英国の植民地政策が悲劇の引き金となっていた。ジャガイモ以外の作物は収穫できたにもかかわらず、輸出されてアイルランド人の口に入らなかったのだ。生死を賭けて自国から逃げ出したアイルランド移民は貧しかった。そして移民先の英国やアメリカ大陸でも「劣等民族」として長い間差別 を受けてきたのだった。このことがアイルランド人のステレオタイプに大きく関連している。 image
陽気なアイルランド人。
コノリ−駅の前の街角にて。
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一概に決めつけられないものの「陽気」な気質は確かにアイルランド人にはよく見られる。人なつっこくて、話し好きで、世話好きで、といった国民性がアイルランドの魅力でもあるのだ。「酔っぱらい」も嘘とは言い切れない。何しろ人口百万人程度のダブリンに千軒近くのパブがひしめいているのだ。でも、「貧しい」というのは過去の話のようだ。最近のアイルランドの経済成長は目覚ましく、昨年は世界中で「競争力のある国」の10位 にランクインしたほど(ちなみに日本は18位)。そんなアイルランドの最近の呼び名は「ケルティック・タイガー」。虎のごとく勢いづいて、発展を続けている。でもそのせいで、土地は高騰してバブル気味。町にもベンツを乗り回すヤッピー(表現が古いけど)が溢れている。素朴な「アイルランドさ」を失っていくようで、私にはちょっと残念だ。

 ・過去のアイルランドの日記を読みたいなら。
 
Ireland Report
from Rieko Yamashita in Dublin
山下理恵子 
95年ダブリン市立大学の修士課程でコミュニケーション論およびカルチュラル・スタディーズを学ぶためにアイルランドへ留学。昨年アイルランドで結婚、現在妊娠7ヶ月。アイルランドで出産しようと準備奮闘中。



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