海外で暮らす


海外駐在 アイルランドに暮らして
第三回目:聖パトリックの祝日


Ireland Report
from Rieko Yamashita in Dublin (March 24th, 2000)

家も買ったし、次は子育て。アイリッシュダンスに魅せられてこの地に住み着いた日本人がしっとりしたダブリンの暮らしをレポート。
「写真は我が家の前にて。左から友人、私、夫。
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3月17日はアイルランドにとって特別な日である。「聖パトリックの祝日(St. Patrick's Day)」という一年に一度のお祭りなのだ。先週の特集記事を読んだ方はもうご存じとは思うが、聖パトリックとはアイルランドの守護聖人で、5世紀前半頃アイルランドにキリストの教えを伝えたといわれている。それ以前のアイルランドでは、ドルイドと呼ばれる僧が予言者、裁判官、妖術者として権力を握っていた。

言い伝えによると、聖パトリックは少年時代にウェールズからさらわれて、アイルランドで羊飼いとして働かされていた。やがて、アイルランドから逃げ出して聖職者となったのだが、布教のために再び海を渡ることを決意。アイルランドに到着した聖パトリックは、大王にキリスト教の教えを説いた。そのとき、三つ葉のクローバーの形をした「シャムロック」を使って、「三位 一体」を説明したという(シャムロックは現在アイルランドの国花)。幸いアイルランドの大王はキリスト教を快く受け入れ、各地に教会が建った。キリスト教はアイルランドの土着信仰と融合しながら、ゆるやかに、かつ着実に広まっていった。現在ではアイルランド共和国内の9割近くのアイルランド人がカトリック教を信仰している。聖パトリックはアイルランドに神の教えを広めた「偉大な聖人」なのだ。

さて、3月17日の目玉は「パレード」である。人々はアイルランドの色である「緑」やシャムロックを身につけて街に繰り出す。華やかなパレードを見に行くのだ。もっとも、「聖パトリックのパレード」を有名にしたのは、ニューヨークだった。アイルランド系アメリカ人が多く住むニューヨークで、移民たちが遠い故郷のお祭りを再現したのだ。アイルランドの首都ダブリンでは、ここ数年好景気の波に乗って大掛かりな「パレード」が行われている。

実は一昨年、昨年(今年は妊娠で断念)と私はパレード参加組の群れの中にいた。パレードには登録したグループのみが出演できる。大きな山車を作ったり、仮装したり、音楽を演奏したり、グループごとに趣向が凝らされている。必ず登場するのが、「聖パトリック」と「蛇」。実は聖パトリックが島から蛇を追い出したお陰でアイルランドには蛇がいない、と伝説で語られているのだ。私は、サンバ・バンドに属していたので、ドラムでサンバ音楽を演奏しながら約2時間の行進をした。足が疲れたけれども、ダブリンの町に溢れた大勢の観客に見られるのは実に気持ちよい経験だった。

 ・過去のアイルランドの日記を読みたいなら。
 
Ireland Report
from Rieko Yamashita in Dublin
山下理恵子 
95年ダブリン市立大学の修士課程でコミュニケーション論およびカルチュラル・スタディーズを学ぶためにアイルランドへ留学。昨年アイルランドで結婚、現在妊娠7ヶ月。アイルランドで出産しようと準備奮闘中。

写真は国立美術館 
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