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最近のファッション事情
そんなわけで、敷居の高そうなブランドショップももしかしたらロンドンが一番入りやすいかもしれない。身なりは悪いが実はお金をもっていて、平気で高額な商品を買っていくこともよくあると聞く。店員もその辺をきちんと理解していて、ちょっとみすぼらしい格好をしているだけでは、場違いなやつが入ってきたとばかりにいやな顔をしたり、追いだすようなことなどしない。なぜなら財布のなかを広げるのを見るまで、だれが金持ちなのかわからないからだ。最終的に買ってくれるお客様が神様なのだ。 だが、最近は少し事情が変わりつつあるようだ。元スパイスガールのポッシュことビクトリアとディビッド・ベッカムのような、日本でも有名な超派手カップルが頭の先からつま先まで、極め付けに子供のミルクボトルまで「ルイ・ヴィトン」で固めて、タブロイド誌*1やTVなどのメディアに登場する。また近年の低金利による消費ブームもあって、以前は「ルイ・ヴィトン」といっても一体何のことかピンとこないイギリス人が多かったのに、今ではこの「ルイ・ヴィトン」を始め、「グッチ」「セリーヌ」等ブランド物を身につけている人をよく見る。カウンシルハウス*2に住み、強烈な下町英語を話すおばちゃん、お姉さんまでも持っている。 イギリスといえば質実剛健でブランド物や新しいものには興味がない人が多いのではと思いきや、まるで一時の日本(今も?)を見るようだ。というのも、そのブランド物の持ち方が妙なのだ。以前、確か某フランス人が、「日本人はブランド物の身につけ方を知らない。ブランド物を持ち歩くときは、それなりにふさわしいコーディネートをしなければならないのに、三越だのなんだのデパートの紙袋を一緒にさげているのは見苦しい」なんてコメントしていたのを思い出して、ふふっと笑ってしまった。こちらでは、もっとすごいことになっている。 「ルイ・ヴィトン」や「グッチ」等のブランド物のバッグと一緒にテスコ、ASDA(アズダ)などのスーパーのビニール袋*3を持ち歩いているのだ。 それが、帰宅途中で帰りに買い物しました、というのではない。ブランド物バッグに入り切らなかった小物、お弁当などを入れ、通勤サイドバッグとして使っているのである。ハロッズやセルフリッジなど有名デパートの厚手のビニール袋とか紙袋じゃない。 あのシャラシャラ音のする日本でいう東急ストアだの西友だの、何とか八百屋のビニール袋。さらに驚いた組み合わせは、薄汚れたアディダス等ビニール製の大きなスポーツバッグを一緒にもっているのも度々見る。こちらでは男女にかかわらず、スーツにリュックも普通だ。そのリュックを背中に、小脇に「ルイ・ヴィトン」や「グッチ」。 先日、おしゃれにかける時間の比較をテーマにしたTV番組を行っていた。 男性は「イギリス人vsイタリア人」、女性は「イギリス人vsフランス人」の比較をおもしろおかしく特集していたのだが、その調査ではイギリス人はファッションや美容にかける時間が圧倒的に短かく、無関心だった。消費ブームで昔買えなかったものが買えるのはいいことだが、ファッションのセンスがそれに追いつくのはまだまだ時間がかかりそうだ。 *1:タブロイド誌…サイズの小さい大衆新聞でThe News of the World、The Sunなど。有名人のゴシップ記事や軽いニュースが多い。これに対してThe Times, The Observer, The Independent などをクオリティ紙と呼ぶ。 最近これらクオリティ紙がタブロイドサイズを売り出し、満員電車でも邪魔にならないと好評。 *2:Council House…一般的に居住区毎に低所得者用に用意された住居。無料あるいは所得に応じて超格安で提供される。 *3:日本でいうビニール袋はこちらでPlastic Bagと呼ぶ。ビニール袋では通じないので注意。ヨーロッパでは省ごみリサイクルもあってかスーパーでの有料化が進んでいるが、イギリスではいまだ無料である。
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