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ネイティブ感覚で観る『ザ・ホワイトハウス』


Updated every Monday, 更新日:5月7日

ジャーナリスト 西森マリー先生

西森先生
西森先生のプロフィール
人気海外ドラマ『ザ・ホワイトハウス』を題材に、アメリカ在住ジャーナリスト、西森マリーさんが英語の台詞とその背景をわかりやすく解説。アメリカの社会背景・文化を知れば英語の台詞もなっとく、楽しみながらアメリカの「今」を学ぼう!


ネイティブ感覚で観る『ザ・ホワイトハウス』 79
祈り〜福音主義者が祈りを捧げる365人のリスト〜
Prayer
From Season 4 episode 4, "Debate Camp"
 

3回にわたって、エピソード4のバックグランドの解説をお届けしています。


今週は祈りに関する話題をお届けしましょう。
まず、報道官C.J.の回想シーンを見てみましょう。

Stark: Bill Stark. I'm with "Kingspeak." We're a magazine that reaches over 600,000 Christians Evangelicals. I'm sorry I missed your first briefing. I heard you did well.
C.J.: I can do better.
Stark: I wanted to tell you that on December 10th, all 600,000 will be praying for you.
C.J.: Really?
Stark: That's right.
C.J.: I don't understand.
Stark: Well, once a year, we identify the 365 most influential people in media and we assign each of them a calendar day and we pray for them.
C.J.: I really don't know what to say in response to that sort of kindness.
Stark: Well... maybe the Administration will reconsider their position on some issues?
C.J.: Like what?
Stark: Um... school prayer?
C.J.: I think the President's pretty much made up his mind.
Stark: Millions of Americans want it. There are a lot of votes there.
スターク: ビル・スタークです。『キングスピーク』の記者です。『キングスピーク(王=キリスト教の神の言葉、というニュアンス)』は60万人の福音主義者(彼らの大半が原理主義者)を読者としている雑誌です。残念ながら私はあなたの最初の記者会見には参加しそこねましたが、うまく行ったと聞いています。
C.J.: まぁまぁでしたね。
スターク: 12月10日に、60万人の読者全員があなたのために祈りを捧げるんですよ。
C.J.: 本当ですか?
スターク: ええ。
C.J.: どうしてかしら。
スターク: 我々は年に一度メディアで最も影響力を持つ人々を365人選んで、カレンダーに一日ごとに1人を割り振り、毎日その人(その日に割り振られた人)のために祈っているんです。
C.J.: なんて優しいんでしょう、どうやってお礼をしたらいいやら。
スターク: いくつかの問題に関してバートレット政権の立場を変える、というのはいかがでしょうか?
C.J.: たとえば?
スターク: えぇ、公立学校での祈りとか。
C.J.: 大統領はその件に関してはもう立場を決めていると思いますよ。
スターク: 何百万人ものアメリカ人が、公立学校に祈りの時間を設けることを望んでいます。(公立学校での祈りに賛成すれば)彼らから票を稼げますよ。

次に、C.J.がスタークと会ったことを同僚に話すシーンを見てみましょう。

C.J.: 600,000 Evangelicals are praying for me... so... we have that going for us.
Leo: What the hell are you talking about?
C.J.: It's true-- a guy gave me this card: "365 in Media."
Sam: Who are the others?
C.J.: I don't know, let's see... "Hugh Hefner, Don Imus, Howard Stern..." all the late-night guys. This is... one, two, three... this is the Editorial Board of The New York Times. This isn't a good list, this is a list of people who are going to hell!
Toby: Yes.
C.J.: They're not praying for me because they like me! It's 'cause I'm doomed to eternal damnation!
C.J.: 60万人の福音主義者たちが私のために祈ってくれてるのよ…だから…私たちにも味方がいるってことよ。
レオ: いったい何の話をしてるんだ?
C.J.: 本当なんですよ。ある人から『メディアの365人』というカードをもらったんです。
サム: 他の364人は誰?
C.J.: 誰かしら、見てみましょう。ヒュー・ヘフナー、ドン・アイマス、ハワード・スターン、1人、2人、3人、これは全員ニュー・ヨーク・タイムズの編集委員だわ。これはいいリストじゃなくて、地獄に行く人たちのリストだわ!
トビー: そうだね。
C.J.: 彼らが私のために祈る理由は私のことが好きだからじゃなくて、私が地獄で永遠に苦しむからだわ!

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ヒュー・ヘフナーは雑誌『プレイボーイ』の創始者、ドン・アイマスとハワード・スターンはショッキングなことを言うことで有名なラジオのパーソナリティーです。

『キングスピーク』という雑誌は架空のものですが、アメリカにはメディアで活躍するリベラルな人々が改心するようにと祈る組織が実際にいくつか存在するんですよね。

最も有名なのは、ラリー・ポーランド氏率いるマスター・メディア・インターナショナルです。

会員(ほとんどが福音主義者です)には一日ごとにリベラルな有名人が一人割り振られたカレンダーが手渡され、会員たちは毎日その日に割り振られた人物が改心するように、と本気で祈っているのです。

主催者のラリー・ポーランド氏が、映画やテレビで活躍するリベラルな人々に関して言った一言をご紹介しましょう。

These people are lost spiritually, and, in many ways, they're lost even in terms of life's priorities.
「彼らは魂を失った人々で、いろいろな意味で人生で何が大切かが分からなくなっている人々なのです」

ハリウッド・トランスフォーメイション・コアリション(ハリウッドを変貌させるための連合)も、似たような活動をしています。

彼らは特にハリウッドに焦点を合わせ、映画業界の人々がキリスト教の神に導かれて、キリスト教の思想(中絶禁止、同性愛禁止)を広める映画を作ってくれますように/ゲイや中絶を肯定する映画を作りませんように、と祈っているのです。


大統領のために/ブッシュ政権の法案が通るようにと祈るプレジデンシャル・プレアー・チームでも、祈りのポイントとして「リベラルな政治家やメディアの人間が考え方を悔い改めますように」という種類の内容が記載されていることがあります(ウェブサイトに毎週祈りのポイントが掲載されていて、信者たちはそれらのポイントに沿って祈りを捧げています)。

プレジデンシャル・プレアー・チームの子供向けのサイト、プレジデンシャル・プレアー・キッズにも毎日何万というアクセスがあるそうなので、キリスト教徒の祈りへの期待度はバカにできないんですよね。


実は、福音主義者の多くや、一部のカトリックはキリスト教の神への祈りのみがあらゆることの解決策だと信じていて、祈りで病気が治った、祈りで同性愛が治った、という証言している人も少なくありません。

そのため、アメリカでは病院でも「様々な地域にいる複数の人々に回復を祈ってもらった患者と、そうでない患者の回復度の比較研究」などが行われているし、「定期的に祈る人のほうが回復が早い」という結果が出たこともあれば、カトリックの尼僧院が資金調達のために始めたプログラム(160〜500ドル(約2〜6万円)払って、尼僧に祈ってもらうプログラム)も大成功を収めているので、祈りの力/祈りの力を信じる人々が圧力団体として行使するパワーも決して無視できないんですよね。


来週は第5話をお届けします。


関連サイト
メディアで活躍するリベラルな人々を改心させるために祈る団体
マスター・メディア・インターナショナル
ハリウッド・トランスフォーメイション・コアリション

ブッシュ政権のために祈る団体
http://www.presidentialprayerteam.org/
http://www.pptkids.org/

尼僧にお金を払って遠くから祈ってもらうプログラム
http://www.salesiansisters.org/

祈りが病気回復に施す効果に関する研究
http://www.boston.com/
http://www.washingtonpost.com/
http://www.npr.org/


関連コラム
公立学校での祈り問題について詳しく知りたい人は
「原理主義キリスト教徒2 〜アメリカの公立小学校で行われている「Bible class」」


ボキャブラリー
Evangelicals:福音主義者
pray:祈る
administration:政権
editorial board:編集委員
damnation:地獄に落とすこと



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