Updated every Monday, 更新日:2月19日
ジャーナリスト 西森マリー先生
人気海外ドラマ『ザ・ホワイトハウス』を題材に、アメリカ在住ジャーナリスト、西森マリーさんが英語の台詞とその背景をわかりやすく解説。アメリカの社会背景・文化を知れば英語の台詞もなっとく、楽しみながらアメリカの「今」を学ぼう!
ネイティブ感覚で観る『ザ・ホワイトハウス』 68
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非都会の州のメンタリティ
Red State Mentality
From Season 4 episode 1, "20 Hours in America" |
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シーズン4の最初のエピソードは2002年9月25日に2時間の特番として放送されたので、今週から3週続けてバックグラウンドの解説をお届けしますね。
今週は、2000年の大統領選でブッシュが勝ったred states(共和党の支持者が多い州)メンタリティーに関する話題をお届けしましょう。
まず、バートレット大統領がインディアナの農場で遊説している間に交わされる次席補佐官ジョシュ、広報部長トビーと選挙キャンペーンのボランティア、キャシーの会話を見てみましょう。
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| Cathy:
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There's no way you guys could stay a little, meet some people... maybe catch up with the campaign at the next stop?
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| Josh: |
Nah, we've got one more stump in Unionville, and then we get on the plane. It's a full schedule at the office.
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| Cathy: |
We've got some voters here, Josh-- did you forget?
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| Josh: |
No.
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| Toby: |
They're voting for Ritchie.
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| Cathy: |
What?
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| Toby: |
Indiana's voting for Ritchie. If there was someone less competent than Ritchie on the ballot, that's who Indiana'd be voting for.
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| キャシー:
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もうちょっとここにいて(民主党有権者の)何人かに会うことはできないんですか…次の遊説先ででもいいんですけど。
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| ジョシュ: |
(インディアナ州での)遊説はあと一つユニオンビルがあるだけで、その後はエア・フォース・ワンに乗らなきゃいけない。大統領執務室はフル・スケジュールなんだよ。
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| キャシー:
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ジョシュ、ここにも有権者がいるってこと、忘れちゃったんですか?
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| ジョシュ: |
いや。
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| トビー: |
彼らはリッチー(共和党の対立候補)に投票するさ。
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| キャシー: |
えっ?
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| トビー:
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インディアナはリッチーに投票するんだよ。リッチーよりさらに無能なヤツが立候補していたら、インディアナはそいつに投票する。
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トビーの最後の一言は一見とても冷酷ですが、実は史実に裏打ちされた的確な指摘なんですよね。
インディアナは1940年の大統領選以来、たった一度を除いて、ず〜っと共和党の候補者に勝利をもたらしてるのです(1964年は暗殺されたJFKの跡を継いだ民主党のリンドン・ジョンソン氏がインディアナで勝っています)。
そのため、政治関係者の間では、インディアナ州はテキサスや南部の州よりも共和党が強い州として有名で、民主党の大統領候補者は、はなっからインディアナはあきらめている、という場合も少なくありません。
ちなみに、クリントン前大統領は2005年にインディアナ州にある大学で講演会を行い、ロック・スター並の熱狂的な歓迎を受けた際にユーモアのセンスを発揮してこう言っています。
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Calm down, you'll have me thinking I'm president again. You keep that up, you're gonna lose your reputation as a red state.
「(そんなに騒がず)落ち着いてくれないと、私は自分がまだ大統領だと勘違いしちゃうじゃありませんか。(あなた方が)こんな態度をとり続けたらred stateとしての評判を落としてしまいますよ」
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インディアナが筋金入りのred stateとして知られているからこそ、クリントン氏はこう言ったわけなんですよね。
次に、インディアナに取り残されてしまったトビー、ジョシュ、ジョシュの秘書ドナを車に乗せてくれた青年タイラーの一言を見てみましょう
ドナに大統領が好きかどうか聞かれて、タイラーはこう答えています。
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Yeah, I think he's okay. I mean, most of my friends are for Ritchie. Not that they're political or anything, I guess, but their parents are for Ritchie so, you know, I guess...
「うん、まぁまぁだね。っていうか、僕の友達のほとんどはリッチーを支持してる。別に政治的にどうのっていうわけじゃなくて、親がリッチー支持だから自分も、っていう感じなんだと思う」
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1940年から(つまり少なくとも2世代前から)ずっと共和党の大統領を選んでいるインディアナでは、共和党であることが常識と化しているので、若い世代も候補者の政策には興味を示さず、単に「親も祖父母も共和党だったから自分も共和党」という感覚で投票してしまう、ということなんですよね。
さらに、タイラーの友だちの若い女の子は、ドナたちに向かっていきなり挨拶代わりに、
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How many unborn babies did you guys kill today?
「あんたたち、今日は胎児を何人殺したんだい?」
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と悪態をついています。
実は、red statesの人々は民主党の人間を見るなりこういう攻撃的な態度をとることが実際によくあるんですよね。
red statesの人は子供の頃から「民主党は胎児を殺し、銃を奪い、同性愛をはびこらせる邪悪な党だ」と洗脳されてしまっているため、red statesの人々と論理的に話をすることは非常に難しい、というアメリカの現状を、このシーンはつぶさに物語っているわけです。
最後は、報道官C.J.と選挙の専門家ブルーノのやりとりを見てみましょう。
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| C.J.:
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Yesterday, the First Lady appeared on KCAL, which is a local LA station. She was asked about the suspension of her medical license and she said something like, "I'm just a wife and mother."
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| Bruno: |
And that has been interpreted in some circles as merely a wife and mother?
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| C.J.: |
This is Flint Aldridge, a Southern Baptist radio host. "This is another sign that Abbey Bartlet is a liberal elitist feminist."
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| Bruno: |
Elitist, feminist-- you can't do that to the English language.
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| C.J.: |
And this is from Janet Ritchie.
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| Bruno: |
Janet Ritchie went on the record?
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| C.J.:
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"Being a wife and a mother are the most rewarding roles I've ever played. I think Abbey Bartlet and I have two different ambitions."
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| C.J.:
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きのう、ファースト・レディがLAのローカル局KCALに出演して医師免許を一時停止されたことに関して聞かれて、「私はただの妻、そして母です」みたいな答え方をしたのよ。
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| ブルーノ: |
それを「たかが妻、母にすぎない」と曲解した連中がいるんだろう?
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| C.J.:
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南部バプティストのラジオの司会者フリント・アルドリッジはこう言ってるの。「これもアビー・バートレットがリベラルのエリーティスト(エリート主義)・フェミニストである証拠だ」って。
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| ブルーノ: |
エリーティスト・フェミニストだなんて、ヘンな英語使ってほしくないねぇ。
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| C.J.: |
ジャネット・リッチー(対立候補リッチーの妻)はこう言ってるわ。
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| ブルーノ: |
ジャネット・リッチーが公式なコメントを出したのか?
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| C.J.:
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「私にとっては妻であり母であることこそが最も報われる役割です。アビー・バートレットと私は全く違う望みを持っている、ということですね」
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これは、1992年の大統領選で、ウィットの効いたヒラリー・クリントン氏のコメントが共和党系の人々に「専業主婦をバカにした」と受け取られたことが元ネタなんですよね。
当時、アーカンソー知事夫人だったヒラリー氏は専業主婦として知事夫人という地位に専念していたわけではなく、辣腕弁護士としても活躍していたんですよね。
で、そのことに関して聞かれたとき、ヒラリー氏はこう答えました。
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I suppose I could have stayed home and baked cookies and had teas, but what I decided to do was fulfill my profession, which I entered before my husband was in public life.
「家にいてクッキーを焼いたりお茶を飲んだりしてることもできたんですけど、私は夫が公職に就く前からやっていた自分の仕事を遂行しようと決心したんです」
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このコメントは「家にいて家事と子供の面倒を見るのが女の役割」だと本気で信じている共和党の人々を激怒させ(共和党の親ブッシュ候補の夫人バーバラ・ブッシュは専業主婦です)、メディアがこの問題を何週間にもわたって大々的に取り上げたおかげで、政策論争に関する報道がおろそかになり選挙キャンペーンの報道がイエロージャーナリズム化(*脚注1)してしまったのです。
来週は、オン・エアー当時、民主党派の人々、および世界中から激しい反感を買っていたブッシュ政権とバートレット政権の大きな違いに関する話題をお届けします。お楽しみに!!
脚注
*1.イエロージャーナリズム(yellow journalism)
低俗で歪曲的な誇張表現を用いた内容で、読者の注目を集めようという形式のジャーナリズムのこと。
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過去のコラム
ボキャブラリー
voter:投票者
ballot:票、投票用紙、候補者名簿
Baptist:バプティスト派
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価格:¥12,285(税込)
字幕:日本語・英語・日本語吹替え用字幕
音声: 英語・日本語
DVD発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
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