Updated every Monday, 更新日:7月3日
ジャーナリスト 西森マリー先生
人気海外ドラマ『ザ・ホワイトハウス』を題材に、アメリカ在住ジャーナリスト、西森マリーさんが英語の台詞とその背景をわかりやすく解説。アメリカの社会背景・文化を知れば英語の台詞もなっとく、楽しみながらアメリカの「今」を学ぼう!
ネイティブ感覚で観る『ザ・ホワイトハウス』 38
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司法省がタバコ業界に対して起こした訴訟 その1
The Justice Department v. Big Tobacco Part 1
From episode 42, " The Fall's Gonna Kill You" |
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今週と来週は、合衆国司法省がタバコ業界を相手取って起こした訴訟に関する話題をお届けしましょう。
まず、司法次官補マーティン・コネリーと次席補佐官ジョシュの会話を見てみましょう。
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| Connelly: |
The case is running out of money. |
| Josh: |
Which case? |
| Connelly: |
The US v... |
| Josh: |
You're kidding me! |
| Connelly: |
No! |
| Josh: |
Martin, we spent 13 million the first year, 23 million the second... Where's the money going? |
| Connelly: |
Outside counsel and staff, depositions, expert witnesses, processing database, research... |
| Josh: |
Yeah. |
| Connelly: |
We have 31 lawyers on a case against 5 tobacco companies, just one of which has 342. We won't count the 13 subsidiaries that have mounted their own defense. Tobacco has spent 380 million dollars to the government's 36, so when I come here asking you for money, it's not because the Justice Department blew its allowance on videogames! I should have let Mack talk to you first. |
| Josh: |
Aren't you allowed to transfer funds... |
| Connelly: |
Yeah, that's what we've been doing. We've been transferring money from Commerce and Health and Human Services to pay for the lawsuit. But then the House passed the HR-260 and now the Committees... |
| Josh: |
Yeah. |
| Connelly: |
You understand? |
| Josh: |
Yeah, let me run it by Leo. |
| Connelly: |
This is a fight worth winning. |
| Josh: |
You don't have to convince me. |
| Connelly: |
These people perpetrated a fraud against the public. |
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| コネリー: |
裁判の資金がないんですよ。 |
| ジョシュ: |
何の裁判? |
| コネリー: |
合衆国対… |
| ジョシュ: |
冗談でしょ? |
| コネリー: |
いいえ! |
| ジョシュ: |
マーティン、1年目に1,300万ドル(約15億円)、2年目に2,300万ドル(約26億円)もあげたのに…カネはどこへ消えたんだ? |
| コネリー: |
外部の弁護士やスタッフ、宣誓証言、専門家の証人、データベースのプロセス、リサーチ… |
| ジョシュ: |
分かったよ。 |
| コネリー: |
我々の弁護士は51人ですが、タバコ会社は5社あって、一社だけで342人の弁護士がいるんですよ。それに加えて13の子会社がそれぞれさらに弁護団をかかえてる。我々は3,600万ドル(約41億円)しか予算がないのに、タバコ業界は3億8,000万ドル(約433億円)この裁判につぎ込んでます。私がお金が欲しいと言っている理由は、司法省がお小遣いをビデオゲームで無駄遣いしたからじゃありません! やっぱりマック(司法省のホワイトハウス担当者)に先に話してもらうべきだった。
。 |
| ジョシュ: |
資金の流用ができる… |
| コネリー: |
流用してましたよ。商務省、厚生省の予算を回してもらって裁判資金にあててたんですけど、議案HR-260が通過して… |
| ジョシュ: |
そうか。 |
| コネリー: |
分かってくれました? |
| ジョシュ: |
レオにきいてみる。 |
| コネリー:
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絶対に勝つ価値のある戦いです。
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| ジョシュ: |
そんなこと言われなくても僕はちゃんと分かってるよ。
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| コネリー: |
彼らは民衆に対して詐欺という犯罪を犯したのです。 |
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これは、クリントン政権の司法省が、1999年にタバコ業を相手取って起こした裁判が元ネタになっているんですよね。
1994年、大手7社のタバコ会社のCEOが公聴会で「ニコチンに中毒性はない」と堂々と『証言』しました。
この2年後、映画『インサイダー』で知られるジェフリー・ワイガンド博士の勇気ある告発で、この『証言』が真っ赤な嘘であったことが判明したものの、7人のCEO(アメリカではThe Seven Dwarfs:7人のこびとと言われています)は偽証罪に問われることもなく、何百万ドルもの高給をもらい続けていました。
また、タバコ業界は子供やティーンのためのイベントのスポンサーをしてチョコレート味やミント風味のタバコを無料で配布したり、イメージ・キャラクターを巧みに使ってタバコがかっこいいもの/ダイエットに役立つものだと深層心理に刷り込もうとしているのに、「子供やティーンを誘惑してはいない」と言っています。
クリントン政権はタバコ業界の悪質な行為を取り締まるための法案を何度も提案してきたんですけど、そのたびにタバコ業界から莫大な献金をもらっている共和党が多数党の議会に潰されてきました。
で、万策尽きたクリントン政権が遂に法的手段に訴えた、というわけなのです。
クリントン大統領がタバコ会社のキャラクター、ジョー・キャメル(ティーン/子供ウケするラクダのジョー)に関して言った一言をご紹介しておきましょう。
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Now, some in Congress say that teen smoking has nothing to do with Joe Camel. Medical science and common sense makes it plain. Teen smoking has everything to do with Joe Camel, with unscrupulous marketing campaigns that prey on the insecurities and dreams of our children.
「議員の中には、ティーンエージャーの喫煙はジョー・キャメルとは無関係だという人もいます。医学的、常識的な結論は明らかです。ティーンエージャーの喫煙はジョー・キャメル、無節操に平然と悪事をはたらくタバコ会社のマーケティング・キャンペーンが我々の子供たちの夢や不安につけ込んでいるせいなのです」 |
後半は次席補佐官ジョシュが首席補佐官レオに3,000万ドル(約34億円)欲しい、と言うシーンを見てみましょう。
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| Leo:
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They're always out of money.
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| Josh: |
We don't give ‘em enough.
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| Leo: |
We passed a law last summer that says they can transfer funds from Commerce, from Health and Human Services. They can take it from Veteran's Affairs up to what? I think twelve million dollars.
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| Josh: |
Yeah, but the problem is the law says that those transfers are subject to approval by various House committees, each of which has a chairman elected with the eight million dollars Tobacco spent in the last election. And even if the transfers were approved, it wouldn't matter, ‘cause twelve million isn't gonna get it done.
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| Leo: |
Neither is thirty million.
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| Josh: |
Then let's give ‘em more.
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| レオ:
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彼らはいつも資金不足だ。
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| ジョシュ: |
我々が十分な資金を与えてないからですよ。
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| レオ: |
去年の夏、商務省や厚生省の資金を流用できる、という法案が通っただろう。退役軍人省から1,200万ドル(約14億円)まで譲渡してもらえるのでは?
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| ジョシュ: |
そうなんですけど、あの法律では様々な委員会の了承が必要と決められていて、どの委員会の委員長もこの前の選挙でタバコ業界から800万ドル(約9億円)の寄付をもらって当選した議員なんですよ。それに、譲渡が許可されたとしても1,200万ドルじゃ足りません。
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| レオ: |
3,000万ドルでも足りんだろう。
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| ジョシュ: |
だったらもっと予算を割いてやりましょうよ。 |
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この会話も、クリントン政権下の司法省が裁判のための資金繰りに困り、他の省の予算を譲渡してもらうときに様々な委員会の反対にあった史実が元になっています。
ちなみに、クリントン政権がタバコ業界を訴えた裁判を起こした年のタバコ大手3社のアメリカ国内のみの収益は、フィリップ・モリス社:195億9,600 万ドル(約2兆2,321億円)、R.J.レイノルズ社:75億6,700万ドル(約8,620億円)、ロリラード社:40億6,450万ドル(約4,630億円)でした。
これほどまでの莫大な軍資金を有するタバコ業界にとっては、数千万ドルなどはした金なので、クリントン政権の訴訟は共和党議員からもタバコ業界からも最初は一笑に付されていたんですよね。それが、賠償金を勝ち取るまでになったのですが、これについて詳しくは、次週お伝えしますね。
最後にタバコ業界の悪質ぶりを雄弁に物語る実話をご紹介しておきましょう。
2001年、チェコ共和国(元チェコスロヴァキアの一部)のタバコの85%のシェアを誇るフィリップ・モリス社がチェコ共和国に送った書類に、
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tobacco cuts government spending for programs such as health care, pensions, and housing for the elderly due to the premature deaths of smokers, resulting in a net economic gain.
「喫煙者は早死にするので、政府は老人のための健康保険や年金、住宅費の出費を削減できるため、(たばこ税のおかげで)結果的に財政はプラスになります」 |
と記していたことが判明しました。
タバコが原因の早死にをポジティブなことと説明したこの書類は、さすがに喫煙者からも反感を買い、フィリップ・モリス社は後に謝罪せざるを得ない状況に追い込まれたのですが、この書類こそがまさにタバコ業界の本音なんですよね。
来週も引き続きタバコ業界を相手取っての裁判の話題をお届けしますので、お楽しみに!
関連サイト
ボキャブラリー
case:訴訟、事件
Justice Department:司法省
lawsuit:訴訟
congress:議会
unscrupulous:無節操な、不謹慎な
pension:年金、恩給
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今回のあらすじ
第42話「転落の予感」
The Fall's Gonna Kill You
首席法律顧問バビッシュのオフィスへ呼び出されるCJ。
過去に記者会見で大統領の健康状態についてウソを言ったことがあるかと、厳しく追及される。またアビーは旅行中にレオからの電話でゾーイの健康診断書の一件を知らされ、大統領本人からは何も聞いていなかったために、帰宅早々、夫婦間に険悪なムードが流れる…。
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