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現代用語を英語にする100選

 

Updated every Tuesday, 更新日:9月4日

石山宏一先生
石山先生のプロフィール

桐蔭横浜大学教授 石山 宏一先生

「小泉チルドレン
」や「振り込め詐欺」など、次から次へと生まれてくる現代用語。そんなまだ和英辞書にも載っていない「新語」の英語訳を辞書編纂も手がける桐蔭横浜大学教授、石山先生が徹底解説。日本の「今」を表す言葉を「英語」で伝えられるようになるための100の新語英訳ドリル。先生の最新作はこちら

 
 
【今週の新語】
ふるさと納税
a hometown tax


これは今年の5月初旬頃から日本の政界に急浮上した新語で、マスコミに頻繁に話題になるので取り上げた(*脚注1)

「ふるさと納税」とは「国民の住民税の一部を出身地(ふるさと)に納める」ことで、問題になっている「格差社会」の一つである「都市と地方の財政力の格差を埋める切り札」として第一次安倍政権の閣僚の一人である菅義偉総務相がゴールデンウイーク中の5月1日に外遊先のパリで突然、提唱した構想である(*脚注2)

菅総務相によると、具体的には「都市部で暮らす人が個人住民税の一部をふるさとの自治体に納める」もので、いわば「恩返し」であるという。政府税制調査会(首相の諮問機関)の香西泰会長は同月11日に「ふるさと納税」制度に条件つきで理解を示し、総務省は6月にも学識経験者による研究会を設置し、具体化を話し合う意向であったが、同構想には賛否両論があり、未だ研究会は設置されていない。

反対の理由は同構想が「税の応益(おうえき)原則」に反する点である。この原則とは「暮らしている場所で受けている公共サ−ビスの対価として税金を払うべき」とする考え方で、税金の使い方に住民の意思を反映させるのが選挙であり、地方自治の基礎であるから、「ふるさと納税」制度はこの原則にそぐわないため、反対であるとする(*脚注3)。もっともな反対意見である。

「ふるさと納税」の英訳語であるが、色々調べた結果、直訳のa hometown taxが適訳となった(*脚注4)。新語中の新語であるためa hometown taxの後に説明文(例えば、that would let taxpayers allocate some of their residential taxes to hometowns they no longer reside in) 等を付け足す必要があろう。

[訳例]
The government adopted a 2007 economic policy package Tuesday that critics say read like a grand wish list short on specifics... The government also wants to narrow the tax revenue gap between rural and urban areas, suggesting introduction of a “hometown tax” that would let taxpayers allocate some of their residential taxes to hometowns they no longer reside in...

(要約:政府は19日に2007年度経済政策大綱を発表したが、一部には(それは)具体策に欠ける壮大な願望リストと批判されている…政府はまた地方と都市部の税源の格差を埋めるため「ふるさと納税」の導入も示唆している。同税は納税者の地方税の一部を出身地に納めるものである)
(The Japan Times Online, June 20, 2007, "Abe's economic package falls on deaf ears" (By Shinichi Terada)


【こんな風に使ってみよう! 会話例】

A company worker: Recently, the government has announced the concept of the "hometown tax" What do you think about that?
今度、政府が「ふるさと納税」構想を発表したけど、どう思う?

His coworker: I've grown up in Aomori, but I wouldn't pay the "hometown tax" to Aomori because I now live in Tokyo and use the Tokyo Metropolitan Government's service now.
私は青森で育ったけれど、青森には税金払わないと思うな、だって、今東京で暮らしてて、東京のサービスを使ってるんだもん。



脚注
*1. 産経新聞2007年5月12日最終版、7面「格差縮小へ妙案?ふるさと納税」参照。また、日本経済新聞2007年7月1日朝刊最終版、3面「『ふるさと納税導入を』5県の知事が緊急メッセ−ジ」参照。この「ふるさと納税」項目は新語すぎて、残念ながら「現代用語の基礎知識2007」(自由国民社2006年刊)や「朝日現代用語知恵蔵2007」(朝日新聞社2006年刊)にはない。

*2. 上記産経新聞記事参照。

*3. もう一つの反対論は「ふるさと納税」を導入しても、その総額は、全国知事会の試算によると最大で1,300億円となり、この額では地方と都市部の税源の格差は埋まらないというもの(日本経済新聞2007年7月13日朝刊最終版、2面「社説/07参院選・政策を問う」参照)。

*4. ちなみに、研究社のオンライン辞書のKOD(Kenkyusha Online Dictionary) やアルク社のオンライン辞典「英辞郎」には2007年7月16日時点では「ふるさと納税」の項目はない。


 
 


【先週の復習】
英語で「年金一元化」ってなに?

(     ) of the (    ) systems