Updated every Monday, 更新日:4月18日
ジャーナリスト 西森マリー先生
日本ではほとんど知られていないもう一つのアメリカから情報発信するジャーナリスト、西森マリーさん。背景を知れば、英語もなっとく。マリーさんから、もう一つのアメリカとアメリカ英語の背景を学ぼう!
アメリカン・カルチャーを知る英語講座
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洋画をネイティブ感覚で鑑賞するために必要な社会背景3〜スポーツ奨学制度
Scholarship
数ヶ月間にわたって、映画の台詞やプロット(あらすじ)をネイティブ感覚で鑑賞するために必要な、社会背景の基礎知識に関するコラムをお届けしています。
今週はアメリカのスポーツ奨学金制度に関する話題をお届けしましょう。
アメリカには様々な奨学金制度がありますが、特に目立つのはスポーツ選手のために設置されている「スポーツ奨学金(athletic
scholarship )」です。
奨学金の対象となるスポーツは下記の種目です。
女子学生
Archery
アーチェリー
Rowing
漕艇
● Basketball
バスケットボール
Skiing(Cross Country and Downhill)
スキー
Bowling
ボーリング
Soccer
サッカー
Cross Country
クロスカントリー
Softball
ソフトボール
Equestrian
馬術
Squash
スカッシュ
Fencing
フェンシング
● Swimming and Diving
水泳&ダイビング
Field Hockey
陸上ホッケー
Sync. Swimming
シンクロナイズドスイミング
Golf
ゴルフ
Tennis
テニス
● Gymnastics
体操
Track & Field (Indoor and Outdoor)
陸上
● Ice Hockey
アイスホッケー
Volleyball
バレーボール
Lacrosse
ラクロス
Water Polo
水球
Rifle
ライフル射撃
男子学生
● Baseball
野球
Rifle
ライフル射撃
● Basketball
バスケットボール
Skiing (Cross Country und Downhill)
スキー
Cross Country
クロスカントリー
Soccer
サッカー
Fencing
フェンシング
● Swimming and Diving
水泳&ダイビング
● Football
フットボール
Tennis
テニス
Golf
ゴルフ
Track & Field (Indoor and Outdoor)
陸上
● Gymnastics
体操
Volleyball
バレーボール
● Ice Hockey
アイスホッケー
Water Polo
水球
Lacrosse
ラクロス
Wrestling
レスリング
最もポピュラーなのはプロに転向できるフットボール、バスケットボール、野球、アイス・ホッケーですが、オリンピックの花形種目である水泳や体操も注目度が高いスポーツです。
で、有望な選手たちは自分から奨学金を求めなくても、大学側に雇われたリクルーターが彼らのところまで出向いてきてオファーを出してくれるのです。
映画『ボーイズン・ザ・フッド(原題:Boyz n the Hood )』には、フットボールの奨学金で大学に行こうとする貧困層の黒人青年が出てきますが、スラム街で育った黒人の子供たちにとっては、フットボールやバスケットボールの奨学金のみが大学へ行くためのチケットとなっていることが実際に多いんですよね。
映画『プール(原題:Swimfan )』には、水泳の奨学金で大学に行こうとしている青年がリクルーターに会う前に緊張する、というシーンが出てきますが、本当に有望な選手たちは複数の大学が争奪戦を繰り広げるので、緊張するのはリクルーターたちのほうなのです。
1994年に公開された映画『ハード・チェック(原題:Blue Chips )』は、ニック・ノルティが演じている大学のバスケットボールのコーチが、スター選手を確保するために賄賂を払うべきかどうか苦悩する、という筋書き。
どんな手を使ってでもスター選手(star athletes )を手に入れたい、という大学側からのプレッシャーが非常にリアルに描かれているこの作品は、公開当時「スポーツ奨学金の実態を歯に衣着せず描いた秀作」と絶賛されました。
この映画では、実家が農業をしている選手にはトラクターが、スラム街の選手には家や高級車が賄賂として与えられていますが、選手の親に取り入るために親を接待する、という行為は日常茶飯事と化しているようです。
そのため、スポーツ奨学金に疑問を抱いている人も少なくないのですが、アメリカ人の多くはスポーツ奨学金を「必要悪」と見ているようです。
アメリカのスポーツ奨学金制度を利用したい人のためのサイト では、スポーツ奨学金の意義をこう位置づけています。
For generations, American universities have had college
teams in all kinds of sports. These teams are professionally managed by
specially employed coaches and serve as an advertisement for the respective
university in numerous competitions.
アメリカの大学は、何世代にも渡って様々なスポーツのチームを持っていました。特別に雇われた専属コーチによって管理されているこれらのチームは、数々の大会においてそれぞれの大学の広告塔として役立っているのです。
If a team has regional or even nation-wide success,
the media will cover its development. That is why college teams are a means
to market the university in order to recruit new students.
チームが地区大会、あるいは全国大会で成功を収めれば、メディアがその様子を報道するので、大学のスポーツ・チームは新入生を募集するためのマーケティングの手段となっているわけです。
For this reason the universities provide the coaches
with a budget to recruit talented athletes from around the world and help
them finance their studies or even their entire stay abroad.
ゆえに、大学はコーチに世界中から才能ある選手をリクルートするための予算を与え、そして彼らの学費や、ときにはアメリカでの滞在期間中の経済援助を与えているのです。
つまり、スポーツで有名な大学には、入学したい学生や寄付金が集まりやすい。入学志願者や寄付金が増えれば、大学は学業面でもレベルが上がり、様々な設備投資ができるからのスポーツ選手以外の学生にとっても「お得」である、ということ。
ですから、才能のあるスポーツ選手が、学業の成績が悪くても堂々と一流大学に入り、奨学金どころか賄賂までもらっても、表立って文句を言う人は滅多に出てこないのです。
先週もご紹介した映画『青春の輝き(原題:School Ties )」には、フットボールの奨学金で名門プレップ・スクール(大学進学を目指す小中高生のために高度な教育を与える寄宿学校)に入ったデイビッド(ブレンダン・フレイザー)が学長にこう言っています。
You used me for football, now I'll use you to get into
Harvard.
「あなたは僕をフットボールのために(学園のフットボール・チームを強くするために)利用した。今度は僕があなたを利用してハーバードに入れてもらおう」
ハーバードのような私立の大学は、卒業生や有力者からの寄付金によって運営されているので、学業のみならずフットボールでも名を上げればフットボール好きの卒業生や名士たちからの寄付の額が倍増するはず。だから、デイビッドのような花形選手は、SAT (アメリカの大学進学希望者を対象とした全国共通試験)の成績がそれほどよくなくても、有名プレップスクールの学長が推薦してくれれば楽に入れる、というワケです。
この一言、アメリカでスポーツ奨学金がどれほど重要かを知っていると、より深く味わえますよね。
関連サイト
ボキャブラリー
scholarship :奨学金
respective :それぞれの、各自の
recruit :人材を募集する、スカウトする