覆面パトカー
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誰にも教えたくない
私だけの、本当のイギリスよ―
『イギリスはおいしい』などの著書で有名なリンボウ先生こと林望氏。喧噪のロンドンを遠く離れ、風光明媚な英国のカントリーサイドを旅する愉悦と発見の紀行エッセイ『リンボウ先生 ディープ・イングランドを行く』(文藝春秋)の中から、毎週1編をご紹介
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イギリスの警察はフェアでスマートだと私はかねて尊敬していたのだが、この頃では、国際化とやらの結果、ずいぶん妙なことがまかり通るようになった。ラウンドアバウト(ロータリー式平面交差システム。くわしくは拙著『ホルムヘッドの謎』参照)に信号を付けたなぞというのが、その最たるものだ。あんなことをしたって、理論的に見て渋滞が解消する筈がない。
さて、ここには、「標識のないパトロールカー出動中」とでもいう意味の標識が写っている。日本でいうところの「覆面パトカー」である。
身分をこっそりと隠して陰険に取り締まるというのは、「取り締まることによって自動車の速度を落とさせる」という本来の目的に矛盾する。覆面によって隠されている結果、取り締まっていることがだれにも分らないから、速度を落としようがないからだ。そこで覆面パトカー出動中、と知らしめてその威嚇によって速度を落とさせるという作戦とみえる。こういう因循なやり方は、わが日本の警察のもっとも得意としてきたところだが、イギリスの警察は日本の警察を学んだとみえる。

覆面パトカー。こういうことをしてはいけませんね,イギリスの警察も。
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で、
それを告知する警告的看板が出たというわけだ。だんだんイギリスの警察も日本なみになってきたことを、さて果たして喜ぶべきか、はたまた、悲しむべきか。
文藝春秋
『リンボウ先生 ディープイングランドを行く』より
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Thanks
to:
株式会社 文藝春秋
〒102-8008 東京都千代田区紀尾井町3-23
Tel:03-3265-1211(大代表) |
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林望先生:プロフィール
1949年東京生まれ。慶応義塾大学大学院博士課程修了。 専攻は日本書誌学・国文学。
イギリスはケンブリッジ大学客員教授として招聘を受けP・コーニツキ氏とともに『 ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』の編纂にあたる。東京芸術大学助教授を経
て、現在フリー。 |
デビュー作『イギリスはおいしい』(平凡社)で第39回日本エッセイストクラブ賞、 『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(共著、ケンブリッジ大学出版)で国際
交流基金国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で第9回講談社エ ッセイ賞の各賞を受賞。
エッセイにとどまらず能評論や小説、料理、自動車評論、新しい日本歌曲の創作(作詩)やコンサート活動など、幅広い活動を行なっている。
リンボウ先生のホームページ http://i.am/rymbow
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