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訴訟大国アメリカのウソのようなホントの話!!
キテレツ訴訟448件


アメリカでは裁判は日常のひとコマになっている。従業員が雇用主を、学生が教師を、教師が学生を訴える。息子が母親を、母親が娘を訴える…。訴訟大国アメリカのウソのようなちょっとおかしなホントの話を紹介。

『ちょっとおかしなアメリカ訴訟事例集 訴えてやる!!!』ローラ・B・ベンコ&アティラ・ベンコ著・永井二菜訳(愛育社/1,900円)



飲むなら乗るな!

1994年、ニューメキシコ州アルバカーキに住む高齢のご婦人が、ホットコーヒーの入った紙コップを股に挟んで、孫の運転するスポーツカーに乗っていた。コーヒーはこぼれ、72歳のおばあちゃんは膝にヤケドを負った。裁判の末、陪審はおばあちゃんに270万ドル(約3億2400万円)の損害賠償を認めた。−冷静な裁判長が後に48万ドル(約5760万円)に減額したのだが。マクドナルドでコーヒーを注文するたび、おばあちゃんの成し遂げた快挙を思わずにいられない。今やホットドリンクのカップにはこんな文句が記されている……”中身が熱くなっておりますので、ご注意ください”(その中身も最近めっきりぬるくなった気がしないでもないが、なにしろ安全第一である)。

だが、飲み物をこぼさずとも損害賠償は盛況出来る。95年に起きたマクドナルド訴訟では、ドライブスルーにやってきた男性客がチョコレートシェイク、ハンバーガー、フライドポテトを購入し、シェイクを股の間に挟んで車を発進。そして、紙袋に入ったハンバーガーに手を伸ばそうと前かがみになったとたん、脚に力が入り、シェイクのフタがポンと外れ、中身が膝に飛び散った。慌てた男性は膝に気をとられて、前の車に追突してしまったのである。ところが、この男性は膝に気をとられて、前の車に追突してしまったのである。ところが、この男性は自賠責保険にすら入っていなかった。そこで追突されたドライバーは、もっと弁償能力のある相手を被告に加えることにしたのだ。

ご明察! その相手とはマクドナルド。何を根拠にしたかといえば、シェイクの容器に”飲むなら乗るな”の警告を表示していなかったこと。ドライバーいわく、マクドナルドが容器に警告を表示していれば、被告の男性も”飲シェイク運転”などせず、ひいては追突事故も防げた、と。それを言うなら、被告の男性が生まれてこなかったら、車を運転することもなく、ひいては追突事故も防げただろう。ならば、被告を取り上げた産科医もついでに訴えたらどうだろう。

ニュージャージー州地方裁判所もドライバーの主張に無理があると思ったらしくその請求を退けた。しかし同時に、弁護士費用1万ドル(約120万円)の支払いをドライバーに求めたマクドナルド側の請求も棄却。ドライバーの主張は「創造力と想像性」に富んでおり、罰するに値しないと判断されたようだ。

『ちょっとおかしなアメリカ訴訟事例集 訴えてやる!!!』(愛育社)より

Page2:妻の座、強し!

著者プロフィール
ローラ・B・ベンコ(Laura B.Benko)
『モダン・ヘルスケア』誌の記者として活躍中。UCLAで英語学、南カリフォルニア大学でジャーナリズム、アンティオク大学ロサンゼルス校で臨床心理学の学位を修得。『インベスターズ・ビジネス・デイリー』の編集委員、『ロサンゼルス・タイムズ』『シアトル・タイムズ』の記者を経て、現在に至る。カリフォルニア州サンタモニカ在住。
アティラ・ベンコ(Attila Benko)
現在、アメリカの大手保険会社で調査員を務める。大学で刑法を学び、卒業後はメリーランド州アナポリスとロサンゼルスの保険会社に勤務。数々の保険請求をさばき、査定、示談、訴訟手続きにも精通。カリフォルニア州シエラマドレ在住。

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