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英語の語源のはなし - 楽しみながらボキャブラリーが増える
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英語の語源のはなし
- 楽しみながらボキャブラリーが増える
あっと驚く語源にまつわるハナシが満載です。「girlは「少年」だった?」「語尾-iで終わる英単語はない?」「thanとthenは同じ単語?」「maleとfemaleは無関係?」などなど、英単語の歴史を楽しみながら、英語のボキャブラリーが知らず知らずのうちに身についていきます。これまで無味乾燥だった英単語学習が楽しくなることウケアイ。英単語を効率よく覚えたい初学者の方や、語源をマクラに生徒の英単語学習を促進したい指導者の方のネタ本にも最適です。
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英語の語源のはなし
(研究社) |
第2章◆基本単語は奥が深い◆17
nice は「愚かな」という意味だった
She is pretty, pretty... と言うから、よほど「きれい」なのかと思ったら、最後は ugly で落ちがつく、有名なギャグがあります。「彼女のことはきれいに忘れろ」と言う時、この「きれいに」は動詞を強調する副詞として機能します。どうやら、pretty(きれいな)が強調の副詞「とても、非常に」の意味を帯びたのは宿命だったようです。そう言えば、口語の
nice and dry(十分乾いて)とか nice and healthy(とても健康そうな)のnice andはveryの意味です。不思議な成句ですが、「良い」が「良く」に転成したと思えば多少は納得できるでしょう。
「良く」は常に「十分に」に変わる体質を持っています。日本語でも、「よく寝た」と「十分寝た」は同意です。したがって、nice
と同意の good に「良い」と「十分な」があってもおかしくないし、副詞 well に「上手に」と「十分に」があるのもうなずけます。He
speaks English well. を「彼は英語が上手だ」と訳すか、「彼の英語は申し分ない」と訳すかの違いに過ぎません。
nice、good、well の中にあって pretty だけはちょっと異質という感がありますが、実は、pretty はその昔
nice の意味でした。つまり「きれいな」とか「かわいい」というニュアンスはなかったということです。そんなバカな!とおっしゃるかもしれませんが、真実です。じゃ、当時
nice はどんな意味を持っていたのかというと、これがなんと「気難しい」でした。ふざけんな! と怒鳴られそうですが、この意味は今もちゃんと生きていて、辞書にも堂々記載されています。nice
ほど波乱万丈の語意変遷を経験した語はないのです。
今でこそ「良い、立派な、親切な」など良いことずくめの nice ですが、当初は目もあてられない意味を引きずっていました。語源辞典によると、‘彼’は
foolish(愚かな)から人生をスタートしています。信じられないことです。 He is nice. が「彼は愚かだ」だったなんて。少し成長して、新たな意味を帯びました。simple(単純な)です。あまり代わり映えがしません。唯一の取り柄は1つのことに打ち込む姿勢でした。彼はワインにはまりました。一意専心、ワインに注ぐその熱意はとうとう彼をソムリエにまで押し上げました。この頃です。彼に「(好みが)うるさい、気難しい」の意味が加わったのは。その代わり、彼が推薦するワインは間違いなく人々の舌を満足させました。あまりにもおいしかったので、人々は彼を見ると「おいしい」を連想してしまいました。彼が出世の糸口をつかんだのはこの時です。意味も
delicious に変わり、あとは順風満帆、出世街道を邁進しました。
nice が good と肩を並べるほど著名になったちょうどその頃、それまで「良い、立派な」とか「親切な」を独りじめしていた
pretty はその意味を nice に譲り、自身は「きれいな」に姿を変え独自の道を歩むことにしました。そう言えば、最近、「おいしい」も
nice や good の意味で使われるようになっています。
研究社『英語の語源のはなし−楽しみながらボキャブラリーが増える』より
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佐久間 治先生:プロフィール
サンフランシスコ州立大学を経て、早稲田大学教育学部英語英文学科卒業。旺文社ラジオ講座、ラジオたんぱ、河合塾講師などを歴任。英語史研究家。著書に『英語の不思議再発見』『英語史に強くなる多義語二〇
〇』『英単語スペリング攻略法』(以上、ちくま新書)、『英語に効くクスリ』(日本経済新聞社)など多数がある。
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