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英語の語源のはなし - 楽しみながらボキャブラリーが増える

英語の語源のはなし - 楽しみながらボキャブラリーが増える

あっと驚く語源にまつわるハナシが満載です。「girlは「少年」だった?」「語尾-iで終わる英単語はない?」「thanとthenは同じ単語?」「maleとfemaleは無関係?」などなど、英単語の歴史を楽しみながら、英語のボキャブラリーが知らず知らずのうちに身についていきます。これまで無味乾燥だった英単語学習が楽しくなることウケアイ。英単語を効率よく覚えたい初学者の方や、語源をマクラに生徒の英単語学習を促進したい指導者の方のネタ本にも最適です。
英語の語源のはなし
(研究社)
 




第1章◆身近な単語の意外な歴史◆5

ブランドとは「罪人に押した烙印」のこと  

ブランドと言えば、すぐにプラダだとかヴィトンを思い浮かべるのは日本人の悪い癖です。確かに、そういう意味もありますが、ネイティヴスピーカーが日常使う brand はどちらかと言うと「銘柄」という意味で、I smoke only this brand.(私はこの銘柄のタバコしか吸わない)のような状況に馴染みます。

しかし、「銘柄」とか「商標」という意味ですら比較的新しい発達で、文献に登場したのは19世紀後半です。それまでの brand はもっぱら牧畜業者の専門用語でした。自分の牧場が所有する家畜であることを証明するために、‘丸にSの字’とか‘M & L’などと刻んだ焼きごてを牛や羊の尻に押しつける行為、およびその焼印を brand と呼んでいました。  

したがって、ブランド好きの日本人が、焼印の押された牛皮とかワニ皮の製品をイメージしつつ、「ブランド」と呼ぶなら、これは正しい語の運用ということになります。確かに、昔の皮革製品には焼印が押されていましたし、今日でも、ジーンズの尻には Levi's とか Edwin と刻印された皮が縫いつけられています。

家畜の焼印として使われる以前の brand は何であったかと言いますと、罪人に刑罰として、あるいは生涯消えることのない汚名を着せるマーキングとして押した「烙印」でした。この用法は今日でも比喩表現として生きています。かつて、北朝鮮の金正日総書記が The United States brands us as a terrorist nation.(米国はわれわれにテロ国家という烙印を押した)と発言したことがありますが、brand という動詞が的確な脈略で使われたケースと言えましょう。

焼印にしても烙印にしても、とにかく火で熱した鉄ごてを生身の人間や家畜に押しつける行為であることに変わりはありません。はたして、この brand とは何を原義とする語なのかと言いますと、これが驚いたことに、burn(焼く)の遠い親戚 に当たるのです。  

話は変わりますが、ぶどう酒を蒸留して作った洋酒をブランデーと呼びます。なぜ、ぶどう酒かと言いますと、brandy は brandy-wine の簡略形だからです。この brandy-wine にはさらに古い語形がありまして、これが brand-wine でした。
 
ここで話は元に戻ります。この brand と先の brand は、実は、同種のものでして、ともに burn を祖に頂く間柄にあったのです。brand-wine は現代語に置き換えると burnt wine(焼いたぶどう酒)に等しく、火にかけられポトポトとアルコール分が蒸留されたことを物語っています。  

同じぶどう酒でもシャンペン(champagne)はフランス語です。フランス東部のシャンパーニュ地方のぶどう酒なので、その名があります。しかし、それ以上踏み込んだ語源解説は避ける傾向があります。元をたどれば、ラテン語campania(野原の多い地方)に由来する語で、現代英語にもシャンペンと同音のchampaign(平原)があります。

研究社『英語の語源のはなし−楽しみながらボキャブラリーが増える』より



Page3フーリガンはならず者一家 Houlihan に由来

佐久間 治先生:プロフィール

サンフランシスコ州立大学を経て、早稲田大学教育学部英語英文学科卒業。旺文社ラジオ講座、ラジオたんぱ、河合塾講師などを歴任。英語史研究家。著書に『英語の不思議再発見』『英語史に強くなる多義語二〇 〇』『英単語スペリング攻略法』(以上、ちくま新書)、『英語に効くクスリ』(日本経済新聞社)など多数がある。

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