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英語の語源のはなし - 楽しみながらボキャブラリーが増える

英語の語源のはなし - 楽しみながらボキャブラリーが増える

あっと驚く語源にまつわるハナシが満載です。「girlは「少年」だった?」「語尾-iで終わる英単語はない?」「thanとthenは同じ単語?」「maleとfemaleは無関係?」などなど、英単語の歴史を楽しみながら、英語のボキャブラリーが知らず知らずのうちに身についていきます。これまで無味乾燥だった英単語学習が楽しくなることウケアイ。英単語を効率よく覚えたい初学者の方や、語源をマクラに生徒の英単語学習を促進したい指導者の方のネタ本にも最適です。
英語の語源のはなし
(研究社)
 




第1章◆身近な単語の意外な歴史◆3

アクセサリーとは「共犯者」という意味  

accessory [accessary] は正式な法律用語でも日常の会話でも「共犯者、従犯」の意味をしっかり維持しています。最近の刑事ものやcopものの映画を見ていても頻繁に耳にします。しかも、少なくとも中英語期(15世紀頃まで)には、この語にはこの意味しかありませんでした。いわゆる「アクセサリー」の意味を帯びたのはずっと後年のことです。  

同じ語に「共犯者」と「アクセサリー」が同居するのはさすがに気にかかると見えて、イギリス英語では「共犯者」の意味では綴りを‘無理やり’accessary に変える傾向があります。古い語形を見ても、接尾辞の機能を考慮しても、正当な語尾はやはり -ory です。

元はと言えば、フランス語から「共犯者」の意味で輸入された語ですが、輸出元のフランス語では、なぜか、すでに「共犯者」の意味は脱ぎ捨ててしまって、今ではもっぱら「付属品」とか「付随的な」を表す語になりきっています。そして、「共犯者」を意味する、もう1つの英語 accomplice と同語源の complice をこれに充て、何食わぬ顔をしています。

こうなると、ばかを見たのはアメリカ英語ということになります。こういうことはわれわれの日常生活でもよくあることです。A方式よりB方式のほうがいいから買え、と言うのでB方式を購入したところ、やがてA方式のほうが広く普及するようになってB方式は製造中止。おまけにB方式を薦めた当人もいつの間にかA方式に切り替えていた、なんていう話です。

新大陸へ移住する際に、当時のイギリス英語を後生大事に抱えていった移民たちは、祖国の言語がその後どのように変貌したかなんて知る由もないので、古い意味や語形、あるいは文法をいつまでも大切に維持したのです。新大陸なのに使っているのは古い言語、という皮肉な現象が発生します。

ところで、accessory に「共犯者」と「アクセサリー」が共存する理由ですが、これはわれわれが考えるほど奇異な現象ではありません。ラテン語に由来する言語の特徴は、例えば、「‘主’に付随する‘従’」あるいは「‘主’に対する‘副’」という基本概念を与えれば、それが‘主犯を助ける従犯’であろうと‘主人の装いを飾る付属品’であろうと構わないのです。その結果 、日本語の発想では考えられないような、2つの全く無関係の意味が1つの語に同居することになるのです。

accessory とよく似た事情を抱えているのが satellite という語です。「サテライト」と聞けば、100人中100人が「衛星」とか「衛星放送」を思い浮かべるはずです。「サテライト」と聞いて「従者」と答える人は少なくとも普通 の英語学習者にはいないはずです。でも、この語の本来の意味は今も昔も「従者、随行者」です。16世紀まではその意味しかありませんでした。言うまでもなく、「‘主’に付随する‘従’」を基調に発生した意味です。惑星の周囲をぐるぐる回る「衛星」の意味で使われ始めたのは17世紀後半です。

研究社『英語の語源のはなし−楽しみながらボキャブラリーが増える』より



Page2ブランドとは「犯人に押した烙印」のこと

佐久間 治先生:プロフィール

サンフランシスコ州立大学を経て、早稲田大学教育学部英語英文学科卒業。旺文社ラジオ講座、ラジオたんぱ、河合塾講師などを歴任。英語史研究家。著書に『英語の不思議再発見』『英語史に強くなる多義語二〇 〇』『英単語スペリング攻略法』(以上、ちくま新書)、『英語に効くクスリ』(日本経済新聞社)など多数がある。

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