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翻訳家柴田元幸が取材した究極のインタビュー集

翻訳家・柴田元幸が敬愛する現代作家たちを訪ね、「声」を訊き、そして、その声を翻訳したインタビュー集。ポール・オースター、リチャード・パワーズ、カズオ・イシグロ、村上春樹ほか全9人を訪れた。村上春樹へのインタビュー以外はすべて2枚組CDに収録されており、柴田元幸みずからが編集・翻訳。文学ファンのみならず、翻訳家や小説家を志望する方々にオススメの1冊だ。

『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』柴田元幸編・訳(アルク/2,625円)


Interview Eight:Paul Auster(ポール・オースター)

The Magnificent Event [CD-B30]

Auster: And I think most people came to the conclusion that what we believe in is democracy. I mean, if we have a religion in the United States it's democracy. We don't always practice it very well, but that is the faith that keeps us together. And if nothing else, the book, the National Story Project itself and the book are examples of democracy in action.

Shibata: Yes.

Auster: And the most beautiful event of all, which was the last one, was in New York. And for this one - and I had been planning to do this even before September 11th - I wanted to make it an evening celebrating New York, because there are quite a few stories in the book about New York City .

Shibata: Right.

Auster: In fact, out of all the thousands of stories I received, New York is the only city that people want to write about. And it doesn't mean that these people live in New York. They're from all over the country. New York is an idea, in addition to just being a place. And there's no other city in America that is like that. So there were many stories in which New York is literally a character in the story.

But this evening we expanded, and we had six or seven of the contributors, but also a number of writers that I invited to get up and read some of the stories. Peter Carey was there, and Susan Sontag, and Art Spiegelman, they read - and some actors as well, John Turturro and Joan Allen. They all read, we all read, and it was a beautiful, a beautiful evening. And one of the most, I think, memorable evenings I've ever had in my life.
Shibata: Yes. It sounds just wonderful. I wish I could have been there.


忘れえぬ一夜の出来事

オースター そして、大方の人々が達した結論とは、我々が信じているのはデモクラシーだ、ということだと思う。このアメリカという国に何か宗教があるとすれば、それはデモクラシーなんだ。我々はそれをつねにうまく実行できているわけじゃない。でもその信仰が、我々をひとつに結びつけている。そしてあの本は、そしてナショナル・ストーリー・プロジェクト自体が、何よりもまず、デモクラシー実践の例だったのさ。

柴田 ええ。

オースター 最高に素晴らしかったのは、一番最後の、ニューヨークで開いたイベントだ。これについては、9月11日以前から計画を練っていたんだが、ニューヨークを祝福する一夜にしたかったんだ。あの本にはニューヨークについての話がずいぶんあるからね。

柴田 そうですね。

オースター 実際、何千と受け取った物語のなかで、みんなが書きたがった街はもっぱらニューヨークだった。しかもその人たちがニューヨークに住んでいるとは限らない。アメリカ中の人たちなのさ。ニューヨークは、単なる場所というだけじゃなく、ひとつの理念なんだ。そういう都市は、アメリカ中ほかにどこにもない。というわけで、ニューヨークが文字どおり一人の登場人物であるような物語がいくつもあった。

で、この晩はいつもより規模を大きくして、物語の書き手を6人か7人呼んだ上に、作家も何人か招いて、壇上に上がって朗読してもらったんだ。ピーター・ケアリー、スーザン・ソンタグ、アート・スピーゲルマン、それにジョン・タートゥーロ、ジョーン・アレンといった俳優も来てくれた。みんなが朗読してくれて、僕らもみんな朗回読して、本当に素晴らしい一夜だった。僕の人生で、こんなに記憶に残る晩もほかにそうざらにないと思う。

柴田 ええ、さぞ素晴らしかったでしょうね。僕も行きたかったな。

『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』(アルク)より


編者・訳者プロフィール
柴田元幸(しばたもとゆき)
東京大学文学部 英語英米文学教授。1954年東京生まれ。著書に『アメリカ文学のレッスン』(講談社現代新書)、『愛の見切り発車』(新潮文庫)、『生半可版 英米小説演習』(研究社)、村上春樹との共著に『翻訳夜話』『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』などがある。主な訳書に『幽霊たち』『ムーン・パレス』『リヴァイアサン』(以上ポール・オースター著/新潮文庫)『舞踏会へ向かう三人の農夫』(リチャード・パワーズ著/みすず書房)、『シカゴ育ち』(スチュアート・ダイベック著/マガジンハウス)、主な編訳書に『夜の姉妹団』(朝日文庫)、『僕の恋、僕の傘』(角川書店)などがある。

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