あなたが知らない素顔のアイルランド
Everything you wanted to know about Ireland
Page4は「上級者編:アイルランド文化の源泉を求めて 〜ケルトの世界 」
アイルランド人の祖先をたどると、紀元前6世紀頃にヨーロッパで隆盛を極めたケルト人にたどりつく。アルプス北部に現れたケルト人は、ガリア人、ガラテヤ人とも呼ばれ、ヨーロッパで鉄と共通言語を用いた初めての集団だといわれている。ヨーロッパ全土で繁栄したが、その後ローマ人に征服され衰退が始まると、西へ西へと追われてしまう。アイルランド、ウェールズ、スコットランド、イギリス南西部のコーンウォールとフランスのブルターニュ地方に移動して、その末裔たちが現在もその土地に暮らしている。
ケルト人は、複数の氏族から成り立つ複合小国家で、鉄の使用に長じていた。また、魂の不滅を信じ、自然を崇拝して森や湖や山や川など、それぞれに宿る数多の神や生霊を信仰していた。この多神教を、その聖職の名前をとって「ドルイド教(druidism)」と呼ぶこともある。ケルト社会の中で、ドルイド僧たちは占いを通じて神託を授けていた。神と対峙し部族の主要な決定を行なう彼らは、聖職者であると同時に裁判官の役目もし、絶大な権力を誇っていた。
従来、ケルト人は文字をもたないというのが定説だったが、4世紀頃にオガム文字(Ogham=線とV字で構成されており、ラテン語のアルファベットに基づくといわれる)という文字が使われていたことがわかっている。しかし、文字による記述よりも、ゲール語で詩や朗読を行なう吟遊詩人たちによる口承文化が発達していた。
ゲール語はケルト人の言語で、イギリス支配下では禁止されて英語にとって代わられた。しかし、民族意識の高まりからゲール語復興運動が起こり、現在ではアイルランドの公用語として学校でも教えられている。ただし、ゲール語の読み書きはできても日常的に話せる人々は国民の1割程度。道路標識や看板など公共性の高いものには、ゲール語と英語の両方の表記がされている。ゲール語の響きは英語とはまったく異なり、“Madain
mhath.(おはよう)”“Feasgar mhath.(こんにちは、こんばんは)”“Oidhche mhath.(おやすみ)”といったようなもの。
古代の資料に書き記されたケルト人たちは、体格がよく勇猛果敢な戦士で、音楽や詩などの芸術をこよなく愛していたといわれている。また、複雑に入り組んだ曲線的で抽象的な文様が刻まれた装飾品や美術品の類を数多く残している。
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| アイルランドではアザラシは妖精の化身 |
アイルランド西部のバレン高原には「ドルメン」と呼ばれる巨石文化の遺跡が残されている。三方を平たい石で囲み上に大きな屋根となる石を積んだもので、中から人骨などが発見されていることから、墓場の一種と推測されている。現在でも妖精を信じる人が多いアイルランド人の中には、ドルメンが“異界への入口”や“妖精の隠れ家”だという人も。
アイルランドの文芸復興に多大な軌跡を残したノーベル文学賞作家、ウィリアム・バトラー・イェーツは、アイルランドの農村に伝わる妖精物語や民話を編纂している。アイルランドの有名な妖精たちを紹介しよう。
■レプラコーン(The Leprechaun)
妖精の靴屋で陽気な働き者。金が大好きな守銭奴で、もしレプラコーンを捕まえたら宝のありかを聞き出すことができるといわれている。
■バンシー(Banshee)
美しい女性の姿をした妖精だが、実は死の予言者。バンシーがすすり泣くのを見るのは、家族に死人が出る前ぶれで不吉とされている。
■ローン(Roane)またはセルキー(Selkies)
海に住む大きなアザラシは妖精の化身とされていて、アザラシの皮を脱ぐと人間の姿になって陸に上がってくるといわれている。アザラシの乱獲への復讐に嵐を起こすこともある。
ケルトの妖精物語や神話をもっと知りたいなら
●King Arthur: History & Legend@Britannia.com
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| 複雑で緻密なケルト文様 |
ケルト文化の特徴のひとつには数多く残された装飾品や造形物がある。そこに描かれた渦巻きや螺旋の文様には、ケルト文化を理解するためのさまざまな意味が込められているという。
■渦巻き文様
ケルト人たちは、魂の再生と不滅を信じていたという。大きな渦巻きの中にさらに小さな渦巻きが描かれるケルトの渦巻き文様は、彼らの死生観や信仰の対象である自然界の神秘を表しているといわれる。
■組み紐文様/動物組み紐文様
蛇や鳥、狼など、生き生きした動物の仕草を特徴的に捕らえ、さらに抽象化して連綿たる連なりとして描く組み紐模様は、超自然的なパワーや、自然界・野生動物に対する畏怖を表現しているとされる。
■螺旋文様
植物や人間の顔などを抽象化した螺旋文様は、ケルト人の宇宙観を表すと考えられている。始まりも終わりもない(もしくは終わりが始まりに続く)この永遠回帰の具象化は、上の2つの文様とともにケルト独自の世界観を表している。
これらのケルト文様は、後世の芸術家たちにも多大な影響を与え、植物をモチーフにした曲線デザインで有名なウィリアム・モリスやアール・ヌーヴォーの代表的画家アルフォンス・ミュシャの描いたポスターなどにもその影響がうかがえる。
ケルト美術についてもっと知りたいなら
●ケルト美術展@TORAY
Square
●Book
of Kells images
●Celtic
Art Home page
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Q4
アイルランドの伝統音楽ってどんなもの?
What is traditional
Irish music? |
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| 舞台で伝統音楽を演奏するミュージシャン |
「ロンドンデリーの歌(ダニー・ボーイ)」、「庭の千草」、「春の日の花と輝く」など、日本人の私たちに馴染みの深いアイルランド民謡は数多い。音階的にも日本の歌と似ている五音階で馴染みやすいアイルランドやスコットランドの民謡は、私たちが小学校時代から唱歌として慣れ親しんできたものなのだ。
では、そもそもアイルランドの伝統音楽、アイリッシュ・トラッドとはどのような音楽だろう。大きく分けると器楽と歌謡による音楽に分けることができる。また、ダンス曲が多数存在し、アイリッシュ・トラッドの典型はこういったダンス曲だともいえる。これらのダンス曲はリズムやテンポによって細かく分けることができる。
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リール
(Reel)
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リズミカルでテンポの早い4分の4拍子。
1拍めと3拍めが強調される。
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ホーンパイプ
(Hornpipe)
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リールよりもゆったりした4分の4拍子。
2拍めと4拍めにアクセントをおく。 |
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ジグ
(Jig)
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8分の6拍子で1拍めと4拍めが強調される。
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この他にも、スライド(Slide)、ポルカ(Polka)などのダンス曲があり、アイルランド国内でも各地域ごとに無数の異なるスタイルがあるのだとか。一方、ダンス曲ではないが、ゆったりした歌のない器楽曲をエアー(Air)という。
アイリッシュ・トラッドの音色を聴いてまず耳に残るのは、フィドル(Fiddle)と呼ばれるバイオリンに似た弦楽器。他にもアイリッシュ・ハープ(Irish
harp)、ボーラン(Badhran)、イーリアン・パイプス(Uilleann pipes)、ティン・ホイッスル(Tin Whistle)、ブズーキ(Bouzouki)、アコーディオン(Accordion)、コンサーティーナ(Concertina)などがある。
いっぽう歌謡で有名なのが、シャン・ノース(Sean nos ※ゲール語では「o」の上にアクセントマークがつく)と呼ばれる無伴奏の語り部のような歌唱方法。ちなみにシャン・ノースはゲール語で「古い方法(Old
Style)」という意味があり、ダンスなどにも使われる言葉。
アイルランドの伝統音楽についてもっと詳しく知りたいなら
●伝統音楽のお祭り「フラー」@ワールドダイアリー
●Irish
Music.net
●Ceolas
celtic music archive
●Irish
music, Song & Dance
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| ●Language Box● |
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神託:oracle |
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部族の:tribal |
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公用語:official language |
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公共性:public aspects |
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抽象的な:abstract |
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遺跡:ancient monument |
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妖精:fairy |
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うずまき:curlicue |
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螺旋:helix/spiral |
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