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 アメリカの国立公園へ行こう

国立公園のこれから

取材・文・撮影/永岡 邦彦

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不思議な風景が広がるブライスキャニオン国立公園

  優れたシステムをもってしても、毎年増え続ける訪問者に対してはなかなかいい案が見つからない自然環境保護問題。多くの人に素晴らしい景色を楽しんでもらいたいが、同時に自然環境を守らなければならないという相反する問題は、そう簡単には解決できそうもない。



日が傾くと美しさが際立つ
自家用車は締め出し

ブライスキャニオンは、ユタ州南部にある不思議な風景が広がる国立公園。ここでは谷底から無数の岩の柱が天に向かって伸びていくSF映画のような光景が見られる。フードゥーhoodoo(元の意味は“邪悪なもの”)と呼ばれるこの岩の柱はさまざまな形があり、あるものはいくつかが繋がって一枚の板のようになり、またあるものは巨大な岩を頭に載せた尖塔であり、ちょっと触ったら崩れ落ちそうな細い柱もある。1本1本じっくり観察しても飽きないほど。特に朝と夕方、光と影が作り出す幻想的な光景は必見だ。


夏の昼間、グランドキャニオンはスモッグが発生してモヤがかかったように見えることがある
さて、この国立公園の年間入園者数は170万人。人気の国立公園だけに、年々その数を増している。ここにはアクセスする道路が1本しかないために、夏のピークシーズンには駐車場に入るために都会なみの渋滞が起こっている。静かな自然に触れに出かけて、排気ガスで自然を破壊しているのではどうしようもない。そこで今年の夏から、公園入り口近くの駐車場から園内はシャトルバスが巡回するようになった。公園を訪れる人は、園内の宿泊施設に予約がある人以外は自家用車での立ち入りができなくなり、いくつものビューポイントを巡るのもすべてバスを利用することになる。

国立公園に行くなら車があったほうがいい、と火曜日に書いたが、快適さと環境保護を両立させるのはなかなか難しい。しかし、自家用車の締め出しはなにもブライスキャニオンに限ったことではない。グランドキャニオンの場合は、事態はもっと深刻だ。年間の入園者数が500万人を越えるグランドキャニオンでは、春から秋にかけてのピークシーズンは、以前から自家用車での園内移動ができずシャトルバスを利用していた。それでも増え続ける入園者への対応ができないため、今年の秋からは基本的に自家用車での入園が一切できなくなる(予定)。計画では、入り口近くの駐車場から新設の交通 センターまで電車で移動し、そこからシャトルバスに乗り換えて目的地に向かう。この計画は交通 渋滞緩和の目的もあるが、何百万台の車の排気ガスによる大気汚染を改善しようという狙いもある。当然園内を走るシャトルバスも電気バスになる。



虹が現れた雨上がりのグランドキャニオン
国立公園のこれからの役割

ビジターセンターには現在のキャニオンと以前のキャニオンの写真が並んで展示されている。これを見ると明らかに現在のキャニオンの大気汚染がすすんでいることがわかる。この大気汚染の原因は、車の排気ガスだけではなく、グランドキャニオンの東にある発電所や遠くロサンゼルスのスモッグの影響もあるという。人間の力が及ぶべくもないスケールのグランドキャニオンでさえ、環境破壊の危機にさらされている事実に訪れる誰もが驚くだろう。そして、多くの人がこの問題を身近な問題として考えるようになる。国立公園は自然の美しさや素晴らしさを感じるだけでなく、自然環境の大切さも体験できる貴重な場所であるのだ。そしてこれからも、アメリカの貴重な自然を守るだけでなく、環境破壊に警鐘を鳴らす存在であり続けるだろう。



●Language Box●

渋滞に巻き込まれる:be caught in a traffic jam
環境保護:environmental protection
大気汚染:air pollution 
排気ガス:exhaust gasまたはfumes
発電所:power plantまたはpower station


関連サイト
国立公園局のブライスキャニオンのサイト
http://www.nps.gov/brca/
内務省の国立公園の歴史に関するサイト
http://www.cr.nps.gov/history/


 来週は、「How to 子連れ個人旅行」をお届けします。