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 アメリカの国立公園へ行こう

国立公園が自然保護に果たす役割

取材・文・撮影/永岡 邦彦

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蒸気が立ち上るイエローストーン国立公園の温泉

  グリンピースや環境NGOばかりが環境を保護団体ではない。世界で最も組織化され、そして最も歴史のある環境保護団体は、実はアメリカ政府にある。内務省にある国立公園局こそ、 “自然環境を守る”という分野では、圧倒的に世界をリードしている存在なのだ。今週は、アメリカの豊かな自然を守り、世界の模範となっている「国立公園」というシステムを紹介していこう。



硫化硫黄成分で崖の表面が黄色くなっていることから ここがイエローストーンと名付けられた
イエローストーン国立公園の誕生

今から120年以上も前の1872年、世界最初の国立公園が誕生した。ワイオミング州北西部にある貴重な環境を開発の手から守るためにつくられたイエローストーン国立公園である。1872年といえば南北戦争終戦後わずか7年後、日本では明治維新の真っ最中。開拓や開発が自然に悪影響を及ぼすという意識がほとんどゼロだった頃の話だ。世界的に広まった環境保護運動、ナショナル・トラストがイギリスでスタートしたのが1895年だから、その20年も前に、アメリカでは自然環境を保護することの必要性が議論されていたわけだ。

国立公園の目的

現在のように世界に誇れる“システム”としての国立公園が整備されるには、その後100年近くの歳月を必要としたが、自然保護には国の力が必要である、と考えていた先見の明のある人々がいたことは、アメリカにとって幸運だった。現在多くの人々に愛され、国内のみならず、世界中から多くの人が集まるアメリカの国立公園。その基本になっているのは1916年に制定されたアメリカ国立公園実施法にある以下のような考えだ。

・あるがままの自然環境や歴史遺産の保護、保全すること
・誰もが平等に利用できる施設を建設し、維持管理すること
・利用者が自然や歴史への理解を深める環境を提供すること

これらの考えはイエローストーン国立公園でどのように実践されているのだろうか。


朝顔プールと呼ばれる美しい温泉

国立公園でなければ一大温泉街

イエローストーンは、現在年間入園者数が300万を越える全米でも有数の人気を誇る国立公園。四国の約半分という広大な園内には、さまざまな風景が広がっている。なかでも特徴的なのが数多くの熱水現象が見られることだ。イエローストーンでは、地下のごく浅いところまでマグマが迫ってきており、いわば火山の上に公園がある状態。もちろん噴火するような火山活動ではないが、このため園内には、温泉や間欠泉などの熱水現象が1万カ所以上で確認できるという。



オールドフェイスフルと呼ばれるこの間欠泉は、忠実(faithful)に65分間隔で熱水を吹き上げる
温泉大国日本でも、これだけの規模の熱水現象が見られる場所はなく、世界的にも極めて特殊な場所なのだ。この広大な公園の敷地内にある道路は、公園外からアクセスする道路を除くと、8字状のループ道路が1本あるだけ。入場者数から考えるとかなり不便だが、自然に与える影響を考え、道路を増やす計画は今のところない。また、数多くの間欠泉や温泉はまったくの自然の状態。訪れる人があるがままの自然を見られるように、人工的に造られたトレイル(遊歩道)の上を歩いてそれぞれの見どころに向かう。何カ所かに設けられたビジターセンターでは、イエローストーンで起こっている自然現象の詳しい解説がされており、自然を学ぶ施設もしっかり整えられているのだ。もしここが国立公園として保護されていなければ、草津温泉や別府温泉も及ばないような巨大な温泉リゾートができあがっていたことだろう。


関連サイト
国立公園局のイエローストーンのサイト
http://www.nps.gov/yell/


 次は国立公園の楽しみ方を紹介します。 

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