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ミステリー翻訳を目指して修行したい。その方法の一つとして専門学校で勉強してステップアップを図ってチャンスを待つという人もいる。どんな方法でも修行というのは努力、また努力の積み重ねだ。
フェロー・アカデミーに通う菅野香織(29)さんは、ミステリーに限らず文芸全般の翻訳を勉強中だ。自分の可能性を絞り込めないことと、尊敬するスクールの講師で翻訳家でもある布施由紀子さんが多岐にわたる文芸書の翻訳者として活躍しているからというのが理由だ。
「翻訳は日本語の選び方だと布施先生はおっしゃっています。あくまでも原文にそって訳すというのが大前提。人によっては自分なりの日本語の文体をつくってしまう人もいますが、翻訳者は作家ではないから原文に忠実に訳しなさい、と言われています。その上で日本語のリズムをつけるのですから、大変です」
菅野さんは原文をひたすら読むことを心がけている。作品の持ち味を吟味しながら翻訳して書き留め、推敲を重ねる。その後で原文と照らし合わせて、もっと自然な日本語はないものかと模索する。この地道な推敲の作業を修行だと菅野さんは淡々と述べる。
「日本語力の強化も大切だと思います。新刊本や話題になった本に必ず目を通
すようにしますね」
'97年にフェロー・アカデミーの全日制レギュラーコースに1年間通った後に'98年から週1回の文芸関係の単科を受講。現在は隔週で文芸総合演習に参加している。ここでは短編ミステリーや純文学などの翻訳が中心だ。
「ミステリーは特別だと思いませんが、翻訳の難しさをひしひしと感じることはよくあります」。
菅野さんが痛感しているミステリー翻訳の難しさというのは、作風を日本語でどう表現していくかということ。そのためにはテーマであれ、文体であれ、作者の狙いを把握することが大切だと感じている。「例えば事件が起こる前の描写は淡々としていて、そこから一気に事件へと駆け上がっていく作風だとしたら、淡々とした描写を事件へのプレリュードとして日本語に訳すときに、読者をあきさせずに事件へと引き込むように訳していかなければいけない。もちろん原文に即してですから、こういうケースにぶつかってしまうと、本当に大変です」
そんなときは翻訳しては推敲を重ね、納得するまで推敲の連続だという。ミステリー翻訳の修行には、地道な努力とあきらめないという不屈な精神が必要不可欠だといえる。
菅野香織:東京都出身。学習院大学文学部仏文科卒。メーカーに就職後退社。'97年よりフェローアカデミーで文芸翻訳課程を受講、勉強しながら下訳を経て児童文学などの翻訳の仕事を開始。
布施由紀子:翻訳家、フェローアカデミーの講師。ミステリー、エッセイ、文芸など幅広く活躍中。『沸点の街』(M・スミス)『検査官ケイト 消えた子』(ローリー・キング)など。
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