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| ダニ−デンの教会 |
私のツキはこれだけでは終わらなかった。レストランの仕事も3カ月目を終え、いよいよ旅を始めようとしたある日、1本の電話があった。
「コンバンワ。ナチュラル・ヒストリーの、マーカスです。オボエテマスカ」
片言の日本語の電話は、一度だけ会ったことのあるテレビ局自然班のプロデューサーからだった。このテレビ局はカカポのドキュメンタリーを作ったことがあり、その話を聞くために訪問したことがあったのだ。何事かと思ったら、これまでに作ってきた自然番組がNHK衛星放送で放送されることになり、日本語版を作りたいので、手伝う気はないかという誘いだった。
早速、南島の小都市ダニーデンに飛び、社長とマーカスの面接を受けた。仕事の内容は、ダニーデンで自然番組の翻訳・台本制作をし、さらに声優を日本から呼び寄せてレコーディングまで担当するというものだった。私は日本でラジオ番組を制作していたことがあり、テレビ番組の翻訳も経験していた。それに何より、ニュージーランドの自然に対して人一倍の関心がある。日本語版制作の経験はなかったが、自然番組に関わるのは勉強になるので、ぜひ挑戦したいと思った。問答を重ねた末に、社長が聞いてきた。
「君は、この仕事をできると思うかね」
「はい」
と、私は即座に答えた。できると思わなければ、わざわざ面接など受けない。
すると、マーカスがもう一度聞いてきた。
「あなたは、NHKがあなたの仕事に納得すると思いますか」
「はい」
2人は、急にほっとしたようだった。
面接が終わった翌週、マーカスが弾んだ声で連絡してきた。 「あなたに賭けたいと思う。NHKに提出する試訳を作ってください」
あとで聞いてみると、このとき候補者は数人いたらしく、私は最年少だった。しかし、「できる」と言明したのは私ひとりだったそうだ。考えてみれば日本語訳を作ってもニュージーランド人に読めるわけがなく、候補者の態度だけを見て手探りで翻訳者を選んだのだろう。経験のありそうな年配者ではなく、生意気な小娘をよくも選んだものだ。外国なんだな、と思った。
私はこうして思いがけなく海外で就職し、ニュージーランドにますますどっぷり浸かることになる。
お薦めサイト
ガイアファーム
http://www2s.biglobe.ne.jp/~GaeaFarm/index.htm
日本語のニュージーランドサイトとしては、充実している。特に実用的情報が多い。
カカポ基金
内田さんは日本からニュージーランド環境省のカカポプロジェクトを応援する非営利団体『カカポ基金』を主催しています。年会費3000円、会員の方には年3回会報が届きます。また、ポストカード5枚1000円も販売中。会員でなくても購入できます。
振込先は:カカポ基金 00190-4-148529 エイゴタウンで見た、と一言お添えください。
詳しいお問い合わせは:PXI12631@nifty.ne.jp
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内田泉さんプロフィール
慶応義塾大学文学部哲学科卒。FMラジオ番組ディレクター、編集ライターを経て、1991年からフリ−ランスでライター、翻訳、音声取材編集などさまざまな分野の仕事に携わる。1993年ニュージーランドヘ渡り自然環境をテーマにしたTV番組制作に従事。自分で嬉しいと思うこと:世界中に沢山友達がいること。自分で悲しいと思うこと:世界中に散らばっている友達と、いつも一緒にはいれないこと。
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『カカポ 月のこども』
うちだいずみ作・さじちあき画(ハート出版刊 1,500円)
月はずっと見ていた―――。 美しいイラストで、次第に生存を脅かされていくカカポのおはなしを描いた絵本。
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