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シダが生い茂る原生の森
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昨日「10羽以上も山の上に集まってきて」と書いたが、実際には、これを見た人は誰もいない。古い昔の文献の中でしか、お目にかかれない光景なのだ。ニュージーランドで本格的にカカポの保護がはじまったのが、1970年代のこと。このころは、カカポが本当にまだ生き残っているのかどうかも分からず、最後の砦であるフィヨルドランド地方の険しい山の中からやっと10数羽の鳥が発見されたとき、その全てはオスだった。つまり、この山の中のオスたちは、毎年、夏の繁殖期が来ると、もう山にいなくなってしまっているメスを呼んで、一晩中「ブーン、ブーン」と鳴いていたのだ。
なぜ、そんなに数が減ってしまったのか。これは人間のせいだ。
ポリネシアから船にのって人間がはじめてニュージーランドにやってきたのが、1000年以上前のこと。目の前には豊かな森が広がり、耳を覆いたくなるような鳥のコーラスが聞こえていた。定住をはじめた彼らは、中でも巨大な鳥モアを狙い、モアを燻り出すために広い範囲の森に火をつけた。大きくて美味しく、美しい羽を持つカカポも格好の獲物だった。おまけにこの鳥、夏になると鳴いて居場所を教えてくれるのだから。
その後、200年ほど前から、ヨーロッパから白人がやってくるようになる。ヨーロッパ人は一層の激しさで森を焼き払って牧場にし、さらにネコやイタチ、ネズミ、オコジョなどの肉食動物を連れてきた。住みかを失い、見たこともない天敵が現れたこの土地に、のんびりした太古のリズムで生きていたカカポが生き残るのは、不可能に近いことだった。
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カカポのヒナ
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現在、ニュージーランド環境省はネコやネズミのいない離れ小島に保護区を作り、鳥たちをそこに放して管理している。しかし、現在生き残っているカカポの総数は、たった62羽にすぎない。
6000万年の歴史の中で進化した鳥が、過去たった1000年の変化によって窮地に追いやられている。カカポは地球上の環境問題のほんの一例だが、あまりに多くのことを象徴していて、心が痛む。そして、カカポの保護が成功すれば、それが他の土地――特に日本のような島国――でも大きな参考になるだろうと、私はニュージーランド環境省のカカポプロジェクトに期待をかけているのだ。
カカポ基金
内田さんは日本からニュージーランド環境省のカカポプロジェクトを応援する非営利団体『カカポ基金』を主催しています。年会費3000円、会員の方には年3回会報が届きます。また、ポストカード5枚1000円も販売中。会員でなくても購入できます。
振込先は:カカポ基金 00190-4-148529 エイゴタウンで見た、と一言お添えください。
詳しいお問い合わせは:PXI12631@nifty.ne.jp
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内田泉さんプロフィール
慶応義塾大学文学部哲学科卒。FMラジオ番組ディレクター、編集ライターを経て、1991年からフリ−ランスでライター、翻訳、音声取材編集などさまざまな分野の仕事に携わる。1993年ニュージーランドヘ渡り自然環境をテーマにしたTV番組制作に従事。自分で嬉しいと思うこと:世界中に沢山友達がいること。自分で悲しいと思うこと:世界中に散らばっている友達と、いつも一緒にはいれないこと。
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『カカポ 月のこども』
うちだいずみ作・さじちあき画(ハート出版刊 1,500円)
月はずっと見ていた―――。 美しいイラストで、次第に生存を脅かされていくカカポのおはなしを描いた絵本。
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