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南半球に浮かぶ小さな島国、ニュージーランド。飛行機で上空から近づいていくと、山がちな大地のいたるところに牧草地が開かれ、そこに点々と白いものが散らばっている。ヒツジだ。日本の総面
積の約7割の大きさをもつこの国は、人口380万人に対して、ヒツジの数は5000万頭以上という、のんびりした農業国だ。ヒツジばかりではない、ウシもブタもニワトリもシカも、いっぱいいる。国中がまるでひとつの牧場のようなもので、どんな大きな町にいても、ちょっと30分くらい車を走らせれば、動物たちが草を食む姿が見られる。なかなかにカワイイので、これをはじめて見る人は、「あ、ヒツジだー」と車を降りて写真を撮らずにはいられない。観光にも一役買っているのだ。
しかし、実はこの国にはこうした『多数派』に押されて、息も絶え絶えな『超少数派』の動物たちがたくさんいる。そして彼らこそ、この土地にヒツジやウシや人間よりもずっと昔から住んでいた、野生の動物なのだ。
私が物語の世界から抜け出してきたようなヘンテコな動物に出会ったのは、今からおよそ10年前のことだ。当時私は、動物写真家の人と仕事をしていたのだが、ニュージーランドの取材旅行から帰ってきたばかりの彼の写真の中に、異質なものが混ざっていた・・・ぬいぐるみの写真だ。緑色でモコモコしていて、スター・ウォーズに出てくるイウォークか、クマのプーさんに出てくるフクロのようだ。「これは一体何なのですか」というすっかり混乱した問いに返ってきた答えが、「ああ、それはカカポだよ」という言葉だった。
カカポ。この名前も何やら不可思議ないきものの正体は、鳥だった。しかし、ただの鳥ではない。世界一太って重い、飛べないオウムなのだ。
「どんくさいなあ、鳥のくせに飛べないなんて」
と思われるかもしれないが、飛べない、いや飛ばないのには、過去をはるかに遡る歴史的理由があった。
カカポ基金
内田さんは日本からニュージーランド環境省のカカポプロジェクトを応援する非営利団体『カカポ基金』を主催しています。年会費3000円、会員の方には年3回会報が届きます。また、ポストカード5枚1000円も販売中。会員でなくても購入できます。
振込先は:カカポ基金 00190-4-148529 エイゴタウンで見た、と一言お添えください。
詳しいお問い合わせは:PXI12631@nifty.ne.jp
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内田泉さんプロフィール
慶応義塾大学文学部哲学科卒。FMラジオ番組ディレクター、編集ライターを経て、1991年からフリ−ランスでライター、翻訳、音声取材編集などさまざまな分野の仕事に携わる。1993年ニュージーランドヘ渡り自然環境をテーマにしたTV番組制作に従事。自分で嬉しいと思うこと:世界中に沢山友達がいること。自分で悲しいと思うこと:世界中に散らばっている友達と、いつも一緒にはいれないこと。
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『カカポ 月のこども』
うちだいずみ作・さじちあき画(ハート出版刊 1,500円)
月はずっと見ていた―――。 美しいイラストで、次第に生存を脅かされていくカカポのおはなしを描いた絵本。
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