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イギリス人俳優たちは脇役においてもハリウッドで重宝がられている。威厳のある役、厳格な役、個性の要る役には必ずといっていいほど演技力のあるイギリス人が配される。以前、RSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)の俳優と話していたら「アメリカ映画はお金が稼げるからじゃんじゃん出たい」と言っていたから、需要と供給の関係はうまく成立しているのかも。ここでは最新作でいぶし銀の魅力を見せる3人の「おじさま」俳優たちをクローズアップしてみた。
マイケル・ケインは
'33年、ロンドンの労働者階級に生まれ、オールド・ヴィク・シアターに通う。兵役を経て夜学で演劇を学び、シアター・マネージャーのアシスタントもつとめたという「苦労人」。端役で映画デビューし、'60年代から徐々に大きな役を掴む。『アルフィー』('66)『スルース』('72)でアカデミー主演男優賞にノミネート。助演男優賞は『ハンナとその姉妹』('86)で一度受賞したが、今年『サイダーハウス・ルール』で二度目の受賞。主人公の養父で人生の師であるラーチ医師を慈愛深く演じていて、人生の年輪を感じさせる。おすすめビデオは『リトル・ヴォイス』。ラーチ医師とは180度異なる物欲にまみれた興行師を演じていて、カメレオン俳優ぶりに驚く。 |
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アラン・リックマンも'46年、ロンドンの労働者階級に生まれ、8歳で父親を亡くして奨学金で学校に通った「苦労人」。デザイナーから役者に転向、『危険な関係』などRSCの舞台で活躍したあと、'88年の『ダイ・ハード』で映画デビュー。『ロビン・フッド』('91)でも強烈な悪役ぶりを発揮したが、とぼけた選挙参謀役の『ボブ・ロバーツ』('92)、いい人役の『いつか晴れた日に』('95)などで演技の幅を広げる。最新作『ドグマ』ではヒロインを導く大天使のメタトロン役を陰鬱な表情で演じ、笑わせる。4月にロンドンで上映していた『ギャラクシー・クエスト』では『スタートレック』のパクリを大まじめに演じ、こちらも大笑いできる。おすすめビデオは『クローズ・マイ・アイズ』。近親相姦という重いテーマを、主人公に翻弄される彼のユーモアセンスが救っていて、お見事。 |
オリバー・リードは'38年、ウィンブルドンの生まれ。50年代に端役デビュー、'61年に『吸血狼男』で主役を獲得、以降『オリバー!』('68)『恋する女たち』('69)『三銃士』('73)などで高い評価を得る。公開中の『グラディエーター』では、主人公(ラッセル・クロウ)を剣闘士として育てる奴隷商人を演じた。バイタリティに溢れ、大きな存在感を見せるも、残念ながら撮影中に急死。映画はエンドクレジットで彼に捧げられている。おすすめビデオは『トミー』('75)。ザ・フーのロックオペラで、主人公の異常な伯父さん役をビンビンに歌い、踊っている。強烈。 |
それにしても、である。ハリウッドで活躍するイギリス人はその90%が男優。女優で、それも若い世代となるとケイト・ウィンスレット、ミニー・ドライバー、キャサリン・ゼタ・ジョーンズなど数えるほどしかいない。イギリス人の役であっても、グウィネス・パルトロウ(恋におちたシェイクスピア)やケイト・ブランシェット(エリザベス)らにとられてしまう。ルックスで評価しないイギリスの演劇界に、地味な女優が多いから? それもあるが、自然に囲まれたロンドンの郊外に根を下ろしてしまっている女優が、結構多いのである。イギリス的価値観、まだまだ健在である。
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