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 ハリウッドで大人気の英国人俳優たち

 文藝もので我が道を行く レイフ・ファインズ

取材・文/松島まり乃


image
『ことの終わり』
(秋公開、ソニー・ピクチャーズ)
 

昨年は『恋に落ちたシェイクスピア』『エリザベス』で、弟ジョゼフが目立っていたけれど、今年はレイフの作品がやってくる。特に、ロンドン、NYで絶賛されたアルメイダ劇場の来日はレイフ・ファンなら見逃せない! 映画と舞台、両方でレイフを堪能できるのは今年だけ!?

華奢で、知的。いわゆるハリウッド的作品には数えるほどしか出演せず(『シンドラーのリスト』『クイズ・ショウ』『ストレンジ・デイズ』)、あとはひたすら文芸路線を突き進み、そのほとんどでラブシーンがある「ロマンティック俳優」。『シンドラー〜』と『イングリッシュ・ペイシェント』で二度オスカーにノミネート、ブロードウェイのトニー賞は既に『ハムレット』で手中に収めている、折り紙つきの演技派でもある。


『ことの終わり』
上映中のロンドンの映画館
(photo by Marino Matsushima)

'62年、サフォーク生まれ。写真家の父と小説家の母の間に生まれ、妹マーサは映画監督、弟マグナスは音楽家、弟ジョゼフは『恋におちたシェイクスピア』『エリザベス』で、お馴染みの俳優という芸術一家。画家から俳優志望に転じ、ロイヤル・アカデミーで学んだ後RSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)などでシェイクスピア劇の舞台に立つ。'92年、『嵐が丘』のヒースクリフ役でいきなり主役デビュー。ジュリエット・ビノシュの相手役で文芸もののヒーローとしての路線を確立した。以後、『ベイビー・オブ・マコン』などを経て『イングリッシュ・ペイシェント』('96)でロマンティック・ロールを極め、世界中の女性の涙を誘った。現在上映中の『オネーギンの恋文』は自ら10年来あたためていた企画で、主演に加えて製作総指揮も担当、妹に監督を、弟に作曲を依頼した作品。「冒頭ではシニカルで尊大な男が、最後に自分の過ちに気付く。その心の旅に深く共感する」という彼の思いは、最後のオネーギンの微笑みで十分に表現されている。

秋に公開の最新作『ことの終わり』は、イギリスの作家グレアム・グリーンの、実体験に基づくといわれる小説の映画化。親友の妻とのひそやかな情事と突然の別れ、そして悲しい結末。「いかにもインテリ」のレイフが難なく小説家を演じ、この作品でアカデミー賞にノミネートされたジュリアン・ムーアを相手に、繊細な世界を作り出している。「人生で何かが起こった時、何をすべきか、すべきでないのか。この映画には古典的な問いかけが隠されていると思う」。

『リチャード2世』
上演中のロンドン、ゲンズボロー・スタジオ
(Photos by Marino Matsushima)

筆者がこの作品を見た4月、ロンドンはレイフ一色。この映画の他にも『サンシャイン』の公開を控えて、地下鉄には彼の顔の大判ポスターが何枚も貼られ、演劇界では、ゲンズボロー・スタジオ(ヒッチコックも使っていた映画スタジオ)での大掛かりなレイフ主演『リチャード2世』が話題になっていた。彼を一目見ようと、若い女性たちも劇場へつめかけ、劇場は連日満員(筆者はキャンセルチケットを運良く入手)。巨大なスタジオの一角をがらんどうのまま舞台に改造、実物の樹木や芝生を植え、壁にはアーティスティックに亀裂を入れた空間に、大勢のキャストが登場する。その中でもタイトルロールを演じたレイフの台詞術はずばぬけて美しく、人間の声が歌以外でもこれほど美しく響くものか、と感嘆させられた。映画『鳩の翼』で有名なライナス・ローチもライバル役で出ているが台詞の点では彼に及びもつかない。厭世的で、時間を浪費しているばかりの王が運命に流される中で見せる、一瞬の生。ちょっとした後ろ姿にもレイフは色気を漂わせ、台詞のみならず視覚的にもかなりの美意識をもつ人であることをうかがわせた。この舞台、ホリプロも出資していたため今秋来日公演が決定(10月11〜29日。『コリオレーナス』も同時上演)。秋には東京がレイフ一色ということになるかもしれない。

『リチャード2世』をプロデュースしたアルメイダ劇場とは数年来の協力関係にあり、舞台出演にも積極的なレイフ。根っからの芝居好きとして、これからも自分の好きな──それは明らかに文芸ものであろう──タイプの芝居をスクリーンで、あるいは舞台で見せてくれそうだ。

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◆『イングリッシュ・ペイシェント』
(不倫をかえりみず、恋しい人のためならば殺人も犯す。思えば何とも不埒なヒーローを共感できる人物として表現した彼の功績は大。これ以上のインパクトのある役に出会うのは、もう難しいかも)

 明日は、おじさんたちも頑張っている!M・ケイン、 A・リックマン、 O・リード