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 アイルランド音楽の魅力

ミュージシャン最新インタビュー/現代のヒッピー・バンド、キーラ

取材・文/松島まり乃


アーティストが、巨大な音楽産業を支えるアイコンになりつつある一方で、あくまでも自然体の、自由な演奏をなによりも大事にしているミュージシャンもいる。キーラはそんな希有なバンドのひとつ。ケルトのスピリットを受け継ぐ彼らのサウンドを、ぜひ聞いてみて欲しい。

フィドラーのディー(中央)と子供たち。レコーディングも家族生活の一部。
(photo/Marino Matsushima)

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アイルランド人の祖先の一部ケルト民族は、ローマ帝国に駆逐され、フランスのブルターニュ、イギリスのスコットランドやウェールズ、アイルランドでかろうじてその文化を守り継いだといわれるが、キーラのメンバーを見ていると、つい「あら、こんなところにいらっしゃいましたか、ケルトの方々」などと声を掛けたくなる。論理的思考を旨としたローマ人とは対極的に、精神性を第一とし、独特の死生観、独特の美術、文字ではなく「口承」への信仰を持っていたケルト民族。現在の一般的な価値観からすれば「ちょっと変わった人々」であったわけだが、キーラの面々もまさにこれに相当するのである。

とにかく、一言で言い表せない音楽である。フィドルやギター、イーリアン・パイプ、ボウラン、ハープなど伝統的な楽器を用いたアイリッシュ・トラッドが基盤ではあるけれど、「アイルランドらしさ」は必ずしも表立っては来ず、アフリカやジプシー、あるいはカリビアンな音も束ねて、聴くものを鷲掴みにするような力強さと疾走感で迫ってくる。

「作曲、っていう作業はないの。ただみんなで一緒に演奏していると、自然にいろんな音が混ざってくる。口論? よくあるわよ、みんな音楽の趣味が違うから(笑)。でも、最終的にはどれが一番その曲のためにいいか、ということで折り合いがつくの」(フィドルのディー)。曲調も予期せぬ ところで急変したりするが、「場所とか状況によってみんなのムードも変わるからなあ」(ロウ・ホイッスルのロッサ)と、ジャズ・バンド的要素もある模様。曲のタイトルは「リステリン・ワルツ」「レモネード・アンド・バンズ」など、人を喰ったようなものばかりだ。

器楽曲はこういう次第で、まるでキュビズム・アートのような「分からなさ」なのだが、歌となると流石に、言葉を通 して彼らの精神性が見えてくる。政治的な主張は入れない主義だが、「自分は人としてどう生きたいか」といった個人的な歌詞が、時にユーモアを交え、アイルランドのアイデンティティ、ゲール語で歌われる。7人のメンバー中3人を占めるオスノディ兄弟の次男、ロウナンがボーカル。アイルランドの荒野が似合う、太く野性的な、しかし優しい声である。メモ魔のくせに、来日した時、「滞在場所? 知らん」と答えて空港の入国管理担当を唖然とさせた逸話のある人だ。

最新作『レモネード・アンド・バンズ』(ビデオアーツ)のミキシングを、彼らはダブリン郊外の水車小屋で、それぞれの家族(ディーは乳飲み子を含む3人の子供と夫同伴)とともに共同生活しながら行った。その期間にお邪魔すると、音楽がある一室から流れているが誰も仕事をしている様子はなく、それぞれ好きなことをしながら、ただのんびりと「共生」していた。まるで昔のコミューンのよう。「あと、2週間もあれば終わるよ。…多分(笑)」(ロッサ)。ダブリンに帰って、事務所のバーニーにこの様子を語ると、「キーラってほんとに、ヒッピーなのよ」と笑っていた。みんな、とてもいい奴だ。ロッサなど、ダブリンの新しいライブ・スペースを、アーティスティックな絵地図を描いて教えてくれた。…後で手にして歩いてみると、それはかなりデタラメな地図ではあったけれど。           




*月曜に紹介しているアイルランドと沖縄のミュージシャンの
   ジョイントコンサートを見に行こう!

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「モイア・ブレナン・イン・海洋博公園」

5月13日(土)開演16:00 終演18:30頃の予定
<会場>
沖縄・海洋博公園噴水広場横 特設ステージ(最大1万人収容)入場無料
<アクセス>
那覇から名護経由で車またはバス(TEL: 098-867-7386)で3時間
<問い合わせ>
沖縄財団法人・海洋博覧会記念公園管理財団業務課
TEL: 0980-48-2741
東京熊谷富裕事務所 
TEL: 03-3479-8165


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