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 同時通訳という仕事

さまざまな同時通訳の現場

取材・文/佐々木真理


image 同時通訳とひと言でいっても、仕事の幅はかなり広い。一般的にはマスコミの世界を想像するかもしれないが、実際にはさまざまな「現場」があり、それぞれに仕事のだいご味も、求められるスキルも異なる。今日は、3つの性格の違う通訳の現場を、実際にそこで働く人に話を聞きながら、紹介しよう。

 
「一生を通じてできる通訳ガイド」はとバスに見事就職

はとバスの通訳ガイド4年目の赤穂里佳さん(30歳)は、何が何でもこの仕事をやりたいという一心で、1年間空きを待ちながら、念願の就職を果 たした。通訳ガイドになるためには、運輸省認定の国家試験で、国際観光振興会が実施する「通 訳案内業」の資格に合格しなければいけない。対象は英語の他、仏・西・伊・中国語など9カ国語。試験は1〜3次まであり、毎年1回、7月から10月の間に実施される。3次は教養科目で、日本の地理、政治経済、歴史、芸術など幅広い分野から出題される。合格率は約6%とかなり難関(問い合わせ先/国際観光振興会TEL: 03-3216-1877)。赤穂さんはOLのかたわら、ハロー通訳アカデミーの夜間コースで勉強し、チャレンジ。1次、2次は合格したが、初回は3次の教養で落ちてしまう。心を引き締めて、再度受験、見事に合格をしたものの、その年は、はとバスの採用はなかった。「絶対やりたいと思っていましたから、履歴書を提出して、空きができるまで待ちます、と意志表示をしました」。

欠員が出た時だけ募集するというはとバス通訳。赤穂さんを引きつけた魅力は、「60歳代で現役のガイドもいて、一生の仕事にできるからですね」。仕事はシフト制で、赤穂さんは平均で月に15日出勤。コースによって時間帯が異なり、9:00〜13:30、13:00〜17:00または〜18:00。給料は日数と歩合制(人数)で決まる。「3月から5月までの間で一番多い質問は、『どうして日本人はマスクをかけているのか』。向こうではマスクは大気汚染というイメージが強いんです。花粉症、と言うと妙に感心されますね」。毎朝英字新聞に目を通すこと、ニュース番組は欠かさずに見るのが、赤穂さんの日課だ。

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赤穂里佳さん


スポーツ界では外人選手を担当する通訳に注目


スポーツ界の縁の下の力持ち的な存在として、外人選手の通訳の仕事が挙げられる。野球の通 訳は外国人選手のグチや悩み事の相談に乗ってあげたり、私生活でもつきあう部分が多い。「毎日、どこまでが仕事でどこからが自由時間なのか区別 がつきません」。この職に就くためのルートはない。求められるキャリアも、通 訳の仕事に従事した経験がある、という条件のみ。求人情報は、各球団ごとに問い合わせ、欠員を聞くというのが唯一の方法だ。西武ライオンズの依田政彦さん、福岡ダイエーホークスの水守伸也さんなどが代表的。

これからの時代に要求されるの、外国人裁判の通訳者

今後、需要が増えることが予想され、またクオリティの高さも要求される通訳の仕事は、外国人裁判の通 訳。「この10年間で外国人の裁判は急増しました。でも十分な通訳は2割程度でしょう。私もこれまで弁護人からそんな通 訳では困る、と法廷で怒鳴られたこともありました」と語るのは聖和大学助教授で、15年前から法廷通 訳を勤める長尾ひろみさん。8年前に『日本司法通訳人協会』を発足。「法廷での誤訳は免罪を生む。『人権問題』として、欧米にならい、法廷通 訳の資格制度を確立してほしい」と訴え続けている。(長尾ひろみ著書:『外国人と刑事手続き〜適正な通 訳のために』成文堂)



明日は「キャリア16年のベテラン通訳者、日野峰子さんインタビュー」です。