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大島希巳江さん
Kimie Oshima

間違えることを恐れず、英語で話すことを楽しむことが大事。

Ryota Mitsunaga
教育学(社会言語学)の博士であり、社会言語学、異文化コミュニケーションを専門とする大島希巳江さん。1996年から、英語落語のプロデュースも手がけ、毎年海外公演を行っている。現在は文京学院大学外国語学部講師を勤め、NHK国際放送局"Hello from Tokyo"にもレギュラー出演する忙しい毎日。そんな大島さんに、英語との出会いや、英語落語を始めるきっかけなどをうかがった。

まず、ご自身の海外経験についてお聞かせいただけますか?
日本の高校(渋谷教育学園幕張高等学校)に入学しましたが、2年生が終わる頃から交換留学生としてアメリカ、ワシントン州に渡りました。その後高校をコロラド州で終えて、大学もそのままコロラド州(コロラド州立大学ボルダー校)へ進学し、卒業しました。コロラド州政府の貿易課で半年ほどのインターンを終えて、帰国。日本で大学院に進学しました。


英語を学ぶのに苦労した点、効果的だと思った方法などがあれば教えてください。
高校生だったので、あまり苦労した記憶はないのですが、演劇部とテニス部に所属したのがよかったと思います。テニスは好きだったので、友人もできやすいし、テニス関連の話題なら英語でもついていきやすかったですね。英語で話す際に、得意分野を持っている、というのはやはり強いと思います。また、演劇部にいたことも、英語の上達にはかなり関係あります。観客にわかるようにセリフをいわなければならないので、相当練習します。演じながら英語で話すことで、丸暗記のセリフでも血となり肉となり、自分の英語になりました。


これまでの人生でターニングポイントとなる出来事はありますか?
1996年の国際ユーモア学会で、「エスニック・ユーモア」について発表したとき、多くの欧米の学者に「でも、そもそも日本人にはユーモアのセンスなんてあるの?」と聞かれたんです。そのとき、落語を英語でやることを思いつき、そこからどんどん英語落語に傾いてきたと思いますね。あれが今思うと、ターニングポイントだったかもしれません。


では、英語落語の公演を世界中されるようになったのは、それがきっかけなんですね。
そうですね、国際ユーモア学会での体験から、日本のユーモアを紹介しようと思ったのがきっかけです。また、英語落語の海外公演では、笑いに包めたほうが日本文化を好意的に受け入れてくれる、という効果もあります。


落語を日本語から英語に翻訳する際、一番ご苦労なさる点はどこですか?
つまらなくならないように工夫すること。落語にはシャレが多いのですが、これは訳せません。といって、とばしてしまうと笑いどころが減ってしまうので、英語のシャレやごろ合わせを作ったりして入れています。話の筋を壊さないような細かいセリフなども、テンポよく、面白ろおかしい英語のセリフに変えています。翻訳作業というよりも、英語落語の創作活動に近いので、とても楽しいですね。


海外公演での面白いエピソードがあれば教えてください。
英語落語公演中の大島さん
一緒にツアーに周っている落語家たちの英語がうまくなってきているのが、本当に面白いですね。それぞれ覚えている落語のセリフを、そのまま海外で日常に使っています。レストランで注文するとき、タクシーに乗るとき、落語に出てくる英語のセリフを応用しています。これがちゃんと通じているので、思わぬ副産物です。最初の頃は、日本を出たことがない、という落語家ばかりでしたから、パスポートなしでアメリカへ行けると思っていたり、飛行機の中で、食券を買いに行こうとしたり、いろいろやらかしてくれました。(笑)


日本人の英語の問題点はどんなところにあると思われますか?
英語の知識は皆十分にあるのに、それを使うとなると、心理的・精神的な障害がジャマをして話せないということが一番の問題だと思います。間違えてはいけない、こんな発音では通じないに違いない、と恐れすぎているのです。学習中なのだから、間違えて当然です。堂々と、間違いを楽しむくらいの勢いで話すといいですね。


英語教材の執筆・監修をご担当されたそうですが、教材の開発に携わる際、一番留意されたのは、どんな点でしょうか?
英語で話す、ということを重点的に考えて作りました。独り言でもいいので、声に出してみることが大事です。書くことは書くことによって、読むことは読むことによって、聞くことは聞くことによって上達します。つまり、話すことは話すことによって、ようやく上達するのです。

国際人として通用するためには何が必要だと思いますか。
英語力よりも、国際人ということよりも、日本人として日本について英語で話せることが必要だと思います。国際的な場面においては、私たちはいつも以上に自分が日本人であるということに気付かされます。そのとき、他の人たちは、私たちにどんな質問を持つでしょうか? どんな話を聞きたがるでしょうか? やはり、日本人の私たちには、日本のことを聞くはずです。日本文化を英語で説明するのは簡単ではありません。普段、あまりにも当たり前のことを、言葉にして説明することになれていないからです。だからこそ、国際場面ではそういう能力が必要だと思いますね。


好きな言葉は何ですか?
"It's not a laughing matter, but laughing matters. "「笑い事ではありません、笑う事です」


将来の夢をお聞かせいただけますか?
日本人が遠慮なく堂々と日本人英語を話して、日本人英語が定着すればいいな、と思います。だから、そのお手伝いをすることが夢かな。同時に、日本語から英語への外来語も増えると楽しいと思います。例えば、Rakugoとかね。


最後に、英語タウンの読者に、メッセージをお願いします。
間違えることを恐れず、英語で話すことを楽しんでほしいと思います。新しい単語を覚えようとするよりも、すでに持っている知識を運用することで、十分英語で話すことはできるはずです。楽しくなければ続けられませんから、失敗しても、それを英語で笑い話として話せるようになりたいですね。

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