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面白くなって友達の和を広げよう! 〜 ウソでも面白いウソを
Q.村松さんはイギリス英語のよさについてどこかでお話しになってましたけど、それはどんな形で学ばれたんですか? もともと米軍からキャリアが始まっているから、アメリカ英語がお得意なんですよね?
A.実地の体験は米軍からですが、私の英語の下敷きには、英文学の勉強があったんです。それは中学時代もそうですし、早稲田大学に行ってる時には、昼間は米軍で働いて口語英語をあやつり、夜は相当レベルの高い英語をやっていた。授業で覚えた言葉や表現を、通訳でも翻訳でも使うと、アメリカ人は「こいつ教養もあるな」と一目置いてくれました。あのイギリス英語の下敷きというのは本当によかったと思う。おかげで、語彙も増えたし、私は他の通訳より言葉の選択がよくなったと思います。
Q.体験で学ぶ部分の他に、いわゆるお勉強もきちっとしていらしたのがよかったということでしょうか?
A.その通り。英語の上達には、両方がないとダメだと思うんです。逆に、昼間は本場のアメリカ英語をしゃべったり聞いてたりするわけですから、夜に大学に行くと、先生が「何で村松君はそんなに英語がうまいんだ?」って。
Q.たいへん生意気な学生さんだったそうですが(笑)。
A.あるアメリカ英語を教えていた先生が、「comic strips」の意味をご存じなくて、「滑稽な裸踊り」って言ったんです。だからね、「先生、それ、違うんじゃないですか? stripは4コマ漫画のことだと思いますよ」って言ったら、「そうか」って。
で、授業終わったら「村松君、ちょっと教授室に来い」って言われて、叱られるかと思ったら、「君は何でそんなできるんだ?」「すいません。進駐軍で働いています」「そうか。じゃ僕は実は早稲田の何とかいう予備校で時々教えてるんだけど、ちょっと代行しないか? お礼するよ」って。何度か先生の代行やりました。多少のお小遣いをもらって、成績は授業に出てなくてもAくれて、面白かった。
Q.度量のある先生ですね。
A.うん。度量があった。私もそういう先生になりたい。
Q.村松さんはその後、アメリカで10年働いてまた日本を拠点に働いて、その間に世界中でいろんな人に話し掛けてお友達を作られていますね。アメリカ、イギリス、アイルランド、ニュージーランドとかオーストラリアにもお友達がいっぱいいらっしゃるとか。
A.あのね、面白いことを言えば人は話を聞いてくれるんですよ。去年の夏も、メリーランド大学に行った帰りにボストンに寄ったんですが、私ね、5日にいっぺん頭を剃ってるんです。2、3日するとザラザラしてたのがホワッとしてきて気持ち悪いんですよ。見栄でね、少しまだあるのにわざと剃るところがいいんです。
Q.なるほど。ブルース・ウィリスと同じですね。で、ボストンで何か面白いことがあったんですか?
A.そう。私は頭を剃りたかったのでホテルで聞いて、薦められて行った床屋がよくてねえ。古風な昔風のひさしがあって、そこに旗のかっこうした板がぶらさがってて、それが店の看板なんです。帆船が昔風の木彫りで彫ってあって色がついている。「The
Clipper」って書いてありました。船は「clipper」って言う帆船があるでしょ。それに、「Cilp」って速いっていうのと「髪を刈る」意味だし、「clipper」ってバリカンのことじゃないですか。こいつは洒落てるなあと思って、その看板をしばし眺めたんです。
Q.なるほど。中にはお入りにならなかったんですか?
A.入りました。そしたら椅子が3つぐらいある小さな床屋で、中年の少し太った床屋が2人いて、お客も2人。1人はまさに終わらんとするところでしたが、私が腰掛けて待ってる間、それとなく会話が聞こえてくる。「カワサキ、カワサキ」と言ってるんです。モーターサイクル、でっかい二輪ですよ。カワサキというのは通が非常に好きなんですね。
で、聞いてると、「修理のために取り寄せる部品が少し高い。金はかかるけど最高のマシンである」と、もうとても楽しそうに話しているわけです。で、その男が終わって店を出て、私が「どうぞ」と言われた時に、「I’m
from Japan. My name is Kawasaki. It’s my grandfather’s company.」、「私は日本から来たカワサキという者で、あれは私の祖父の会社です」って言ったら、床屋さんは「What!?」って叫んで外に出て、さっきの客の男を連れ戻そうと大騒ぎになっちゃった。
Q.罪なことを…。
A.「I was just kidding.」、「冗談です」ってちゃんと言いました。それから話がはずみましたですね。面白いこと言えば話は弾むんです。
Q.そうですね。逆にこの人面白くないなって思うと…。
A.そうです。人生の無駄、時間の無駄ですよ。どうせなら面白い人としゃべった方がいいですよね。そうやって心の触れ合いは広がっていくんですよ。
| 著書紹介 |
「新編
私も英語が話せなかった」
同時通訳者、教育者として著名な村松増美しが、英語との関わりをはじめ、国際通訳の経験などからえた「生きた英語」を学ぶコツを楽しく紹介。
村松 増美 (著) 日本経済新聞社
1,500円
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