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第五回目の今日は『相原さんが紹介する"ターシャ・テューダーの世界"』 |
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Q.相原さんが企画・翻訳、そして営業までなさったという『ターシャ・テューダーの世界』の、まず出会いから聞かせて下さい。
A.きっかけのひとつは、私の子供たちのお気に入りの絵本のひとつに、彼女の『コーギビルのむらまつり』という作品があって、その頃は作者のテューダーについては何も知りませんでした。再び彼女の名前を目にしたのは20年近く経ってから、アメリカの生活情報を盛り込んだ女性誌『ビクトリア』でガーデニングの特集があり、その中で80歳を過ぎたおばあさんが自給自足の生活をしているという記事を見つけたんです。これはすごい! 誰だろうと思ったら、あの絵本作家のターシャ・テューダーなんですね。
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Q.彼女の生き方が相原さんの心のアンテナに強く触れてしまったのですね。
A.そうです。そのとき私は50歳になりかけていて、老後の生き方を模索していました。彼女が自立して一人で生きていく姿と、今でも挿し絵画家として新作を発表している、その現役で活躍する姿勢に非常に強く惹かれたわけです。そこでさっそくターシャ・テューダーに関する本を取り寄せたところ、いちばん素敵な本がこれだったのです。
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Q.どういうところに惹かれましたか?
A.自分の言葉で語っているところがいいですね。生活の中からにじみ出てくるオリジナルな言葉がちりばめられています。
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Q.本の中にある、相原さんのお気に入りの言葉、または心を打ったフレーズなどを教えて下さい。
A.自然はすばらしいもの、と彼女はさまざまな表現で訴えてくれます。例えば『もし星を年に一度しか見られないとしたらどうでしょう。星の素晴らしさがわかりますよね』という内容のフレーズに、はっとしました。これまでの私の物の見方を変えるすごい視点でした。
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Q.一度しかないとしたら、という視点で自然の風物を眺めたときに、自然というものは当たり前に存在しないということですね。それは新鮮な発見ですね。
A.ええ。見慣れてしまったものの尊さ、素晴しさを気づかせてくれました。
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Q.他にも共感をおぼえた部分はありますか。
A.ターシャ・テューダーは古い物やアンティークを大切にしています。また、それを日常生活のなかに取り込んでいます。古い物との共存、これはなかなかいいですね。それからもっとも感銘を受けたのは、「わたしは心から満足しています。犬や山羊や鳥たちと一緒にここへ住み続けること。それ以外に何の望みもありません」という言葉です。この境地になるには、大変な努力が必要だと思います。両親が離婚したり、彼女自身が夫と別れたりとこれまでの人生は決して平坦ではなかったようです。しかし彼女は年齢を重ねるのも悪くないわよ、楽しいわよ、というメッセージを伝えてくれる。それは大変な努力をしながら理想を求めてきた末ににじみ出てきた言葉だと思うのです。
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Q.ターシャ・テューダーの一生というのは、理想を求めての努力の連続だったわけですね。
A.理想に生きるというのは、しがらみから解き放たれ、自由になることです。それは安定を求めずに生きてきた証でしょう。理想を求めていく過程で不要なものを捨て、必要なことを勇気を持ってやり遂げてきたのだと思います。だからこそ、彼女は年齢を重ねるごとに楽しい日々を過ごせるのです。これは高齢化社会を生きる上での理想の形だと思いますね。
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素敵なお話をどうもありがとうございました。
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相原真理子プロフィール
東京都生まれ。慶應義塾大学文学部英文科卒。レスラー『FBI心理分析官』(早川書房)、テューダー『ターシャ・テューダーの世界』(文藝春秋)、コーンウェルでは検屍官シリーズの他に『スズメバチの巣』(講談社)など。
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