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第三回目の今日は『"検屍官"シリーズ、翻訳の現場』 |
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Q.相原さんから見たコーンウェルの小説世界を別の観点から聞かせてください。検屍官シリーズ以外のミステリーとの比較ではどうですか。
A.検屍官以外の作品としては警察官が主人公の『スズメバチの巣』があります。舞台はノースカロライナ州最大の都市シャーロットで、そこの警察署で起こる様々な事件や人間関係を描いたものです。メインのプロットは連続殺人事件ですが、物語の構成としてはいくつものエピソードの積み重ねという形をとっています。検屍官シリーズとの大きな違いは、この作品では様々な人間の視点が入り組んでいることです。検屍官ではスカーペッタの視点が中心です。一方、『スズメバチの巣』は風刺が入り、寓話的なニュアンスも大きく、検屍官シリーズにはないこうした別の表現方法で作品を構築していますから、コーンウェルのチャレンジ精神を垣間見ることができます。でも検屍官ファンが読んだら、シリーズに流れているリアルな世界が薄いというとまどいを覚えるかもしれません。
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Q.コーンウェルはDNA鑑定やコンピューター犯罪など、事件の核となる素材を時代の最先端から選択しています。翻訳を進める上で、専門的な調査には大変な労力をお使いになると思うのですが、調査の方法はどうですか?
A.もちろん科学的なことは専門家に聞きます。そうそう、息子の専門がバイオなんです。ですからDNA鑑定や遺伝子に関するときは、ずいぶん世話になりました。今はアメリカで仕事をしていて不在ですが、私から逃げたのかも(笑)。
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Q.その筋の専門家に聞く、というのも大変だと思われます。予備知識を持って臨むにしても、まず相原さんが興味を持たないと。
A.そうですね。私は好奇心が強くて、どんなジャンルでもOKなんです。しかも日頃からアンテナを張っておきますから、専門家にバッタリと会ってしまうこともあります。シリーズ1作目の準備をしていた時に、偶然に家の近所で『死体は語る』の著者・上野正彦さんの講演会がありました。講演会の後で上野さんに取材を申し込んだところ、快く承諾してくれて。あの時は本当にうれしかったですね。
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Q.行動派ですね。ミステリー翻訳家の中では際立つ存在なのでは?
A.確かに動くことは好きですね。
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Q.ところで最先端技術の知識はアメリカと日本とでは異なりますね。例えばアメリカの技術の速度が勝っていて、日本にまだその技術の存在がないという場合はどうするのでしょう。
A.そういうこともありますね。例えばDNAに関してですが、訳せない言葉とかあるんですよ。どう訳したのか忘れましたが、後になって専門的な知識や技術が浸透してきたときに「あのことだったのか」とわかることもあります。もちろん、そういう場合は重版するときに手直ししています。
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Q.新しいカテゴリーの言葉は、後に変わることもあるのですね。
A.そうですね。たとえば「プロファイラー」という言葉がまだ目新しかったころは、「容疑者性格分析官」と訳したことがありました。今では「プロファイラー」も広く浸透して説明する必要もなくなりました。
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相原真理子プロフィール
東京都生まれ。慶應義塾大学文学部英文科卒。レスラー『FBI心理分析官』(早川書房)、テューダー『ターシャ・テューダーの世界』(文藝春秋)、コーンウェルでは検屍官シリーズの他に『スズメバチの巣』(講談社)など。
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