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サフィア・ミニー氏 (Safia Minney) 富める北と飢える南。世界の貿易不均衡をなくし、健全な国際関係を築こうというフェア・トレード(公平な貿易)運動をすすめているサフィア・ミニーさん。10年前に英国から来日して活動を開始、現在では運動母体であるグローバル・ヴィレッジとともに、フェア・トレード商品を販売する株式会社フェア・トレード・カンパニーを設立、自由が丘にショップもオープンさせている。ミニーさんの多彩 な活動を通して、世界のイマを見ることができる。
Q.5年前、NGO団体としてのグローバル・ヴィレッジ以外に、商品の販売などをおこなうフェア・トレード・カンパニー株式会社を設立なさいましたね。NGOが株式会社を設立するのは珍しいことだと思いますが。 A.物を輸入して販売している以上、事業としてきちんと成り立つようにしなければ長続きしません。事業の運営のために融資を受けたり、スタッフにきちんと社会保険に入ってもらったり、また、赤字のときは税金の控除を受けたりするためにも、株式会社化した方がいいなと前々から考えていました。会社組織として会計をきちんと報告し、情報の透明度を高めることも必要だと考え、'95年にフェア・トレード事業部門を「フェア・トレード・カンパニー株式会社」にしました。今の先進国の消費のあり方を考え直したり、途上国の貧困の原因を探るために、いろいろな調査や出版物の発行、キャンペーンの企画などをおこなう非営利活動の方は「グローバル・ヴィレッジ」の活動として継続してやっています。
Q.利益を追求するビジネスとフェア・トレード運動との両立は難しくありませんか。 A.手づくりの物を輸入するため、生産から納品まで6カ月かかったり、災害に遭って生産がストップしてしまったりと、ビジネスとして成功させるのは簡単なことではありません。でも、フェア・トレードに対する理解は確実に広がっていて、フェア・トレード・カンパニーは3年連続で前年度比60%くらい売上が伸びています。昨年の決算では初めて、わずかですが黒字を出せました。人や環境に配慮しながらもビジネスは成り立つんだということを証明していきたいですね。
Q.フェア・トレードという運動に対して、支援するという姿勢はおこがましい、北側の豊かな人々が考え出した自己満足なのではという意見も一方で聞きます。 A.フェア・トレードは、一方的に支援するというより、現在の不公平な経済構造に疑問を投げかける社会運動でもあります。そのためには、コマーシャルに躍らされて、本当に自分が必要でもないものを背景も知らずにどんどん消費し続けている「北」側の価値観も変えていく必要があると思います。生産者の人々には自立する力を、消費者には正しい情報に基づいて選択する力を、それぞれ取り戻していこうというのが私たちの活動の目的。この活動を通じて自分とは違う社会や人々に触れることで、自己満足するどころか、違う価値観、新しい価値観を常につきつけられているような気がします 。
Q.でも、この不況のなか、フェア・トレードの意志に賛同して支援する人は少なく、ほとんどの人たちはちょっとでも安いものを買って生活をラクにしたいと考えているような気がします。運動はみんなのシンパシーを集めていると感じていらっしやいますか。 A.質が同じなら安いものがほしいと思うのは、自然な欲求だと思います。ただ、その「安さ」が、農薬や化学肥料を多用したり、人権を踏みにじるようなひどい労働条件で途上国の子どもや貧しい女性を働かせて実現したものだとしたら、それでも安い方がいい、とみんな思うでしょうか。フェア・トレードが求めているのは、消費者が物がつくられる背景をきちんと知った上で、責任ある買い物をしてほしいということなんです。 最近は、今の社会に疑問を持っている人も増えています。遺伝子組換食品への懸念や有機食品の見直しが広がっているのも、科学や効率だけに重きをおく今の流れへの反発が生まれていることの表われでしょうし、ファースト・フードよりも、手づくりの「スロー・フード」、大量生産の商品よりも作り手の顔の見える手づくりの商品、というニーズはどんどん高まっていると思います。
Q.カンパニーでのサフィアさんの役割、活動内容、ある日のスケジュールを教えてください。 A.商品開発、輸入、物流、広報、営業などのチームを、私が統括しています。ですから、新しい商品のアイディアのための情報収集から、現地に出張して生産者さんとの打ち合わせ、カタログ製作のための撮影、販促の企画まで、すべて私が関わっています。例えば、朝はグラフィック・デザイナーさんとカタログのレイアウトについての打ち合わせ、午後は生産者さんとのEメールのやり取り。営業スタッフと売上状況の分析のためのミーティングをする一方で、NGO活動として途上国の国際債務の問題をリサーチするなど、なかなか自分の席を温めている暇がありません。しかもその合間に、旅行代理店に電話して出張のためにエコノミー・チケットを手配したりしてね(笑)。
第三回目の明日は「バックボーンはクロスカルチャー」