乙武洋匡さん インタビュー
Hirotada Ototake
発音が良いのも困りもの?! 乙武式英語学習法とは?
『五体不満足』の著者で、現在スポーツライターとしても活躍中の乙武洋匡さん。テレビ朝日系「smaStation」や絵本の翻訳などで、英語の実力も発揮している乙武さんの、英語学習法からスポーツライターになったきっかけ、インタビューして印象に残っているスポーツ選手など、たっぷりと語っていただいた。
大ベストセラーになった
『五体不満足 完全版』
Page1:『五体不満足』執筆のきっかけと、印象に残るスポーツ選手
Page2:発音が良いのも困りもの?! 乙武式英語学習法とは?
Page3:好きな言葉は「unique」、独特な存在でありたい
Q .
2001年に絵本「かっくん」の翻訳をされていますが、そのきっかけや苦労した点について聞かせて下さい。
A .
きっかけは講談社さんからのご依頼です。「とても良い本で、乙武さんの言葉で伝えて欲しい」と言われて。英語と日本語というのは必ずしも「イコール」でリンクされてない言葉ってのがあると思うんです。例えば、翻訳した本には出てこないですけど、「いただきます」も難しいし、「お疲れさま」も「Good
job!」とはちょっと違う気がするし、「いってらっしゃい」もないですよね。そういうリンクされてない言葉が結構出てきたので、それはもう自分のさじ加減ひとつという感じがして、自分の物語じゃないだけに、責任を感じ、どきどきしましたね。
自分が翻訳をしてみて、映画の字幕の見方がちょっと変わりました。話していることとだいぶ違ったりしますし。
Q .
大学時代にESS*1 やAIESEC(アイセック) *2 という英語に関するサークルに入られていたそうですが、具体的な活動を教えていただけますか?
A .
ESSは友達に連れられて、大学入学時に入ったんですが、2カ月で辞めました。でもその2カ月間に、スピーチコンテストでも何故か間違えて優勝してしまいましたね。本当に困るんですけど、僕、発音がいいらしいんですよ。本当はあんまり喋れないんですけど(笑)。海外に行って、タクシーに乗って行き先を告げたり、レストランで注文するときは、単語でいいじゃないですか。でも発音がいいから、「こいつは喋れる!」と思われて、ガーっと話しかけられて、「いやいやいや、ごめんごめん、話せないんだ!」って感じなんです。
ちょっとだけ発音がいいのと、普段から態度がでかいので、スピーチコンテストで優勝してしまったんですけどね(笑)。ほら、スピーチって態度が重要じゃないですか。いかに堂々としているか、というのが。
AIESEC(アイセック)もESSと同時に入っていましたね。これも大学1年の初めに入って、1年の最後には辞めました。具体的な活動は、国際交流をしながら、海外の学生とビジネスについて考えよう、というものです。
海外の学生が日本の企業にインターンできるように手配をする、というのがメインでした。思い出に残っているのは、名刺を持って、スーツを着て、企業回りを経験したことです。
*1 ESS=English Study Societyの略称。 高校、又は大学で、英語の弁論などをする部活、又はサークルのこと。
*2 AIESEC=Association Internationale des Etudiants
en Sciences Economiques et Commercialesの略で、世界84の国と地域に活動拠点を持ち、海外インターンシップを運営することで、実務研修(インターンシップ)と国際理解の経験を通じて国際社会を担う学生を育成する国際学生NPO。
Q .
翻訳もそうですが、テレビ『SmaStation-3』などでも、英会話力を発揮されています。英語はどのように勉強したのですか?
A .
うるさいことを言わない父が、昔から「英語だけはやっとけ」と言っていたんです。だから「やらなきゃな」と思って。今でも思っているんですが(笑)
。受験勉強以外には、英会話学校のマンツーマンレッスンに3カ月くらい通っていました。でも、高いからやめました。続けてれば、もっと力がついたかも、と思いますけど(笑)。
Q .
英語が話せて良かったと思うことは?
A .
昔のことなので具体的な内容は忘れちゃったんですが、英語で何か話して、相手の笑いをとったときが嬉しかったですね。笑いを取るのって難しいじゃないですか。
プロ野球の取材でたまに外国人選手に話しかけられたりしますけど、「元気?」とか天気の挨拶とかはできますけど、外国人選手にインタビューするためには、もっと英語を勉強したいですね。ヤクルトにラミレスという選手がいて、よく話しかけてくれるいいヤツなので、「もっと英語が話せれば彼と話せるのにな」とは思います。
追い込まれないと出来ない人は、現地に行くのが一番!
Q .
オススメの英語学習法はありますか?
A .
現地に行くのが一番! 人間には二つのタイプがあると思うんです。 地道な努力をコツコツ重ねていくタイプと、追い込まれないと出来ない人と。
僕の場合は明らかに後者ですね。 英会話学校に通ったり、ラジオ講座を聴いたりしても続かないんで、現地に行くか、英語がネイティブの彼女を作るしかないかなあと(笑)。
自分のタイプ次第で学習法は変わると思います。
Q .
今回「五体不満足 完全版」の英語翻訳版が出版されるそうですが、完全版でないものは既に英語、韓国語を初め、色々な言葉に翻訳されています。世界中の人に自分の本を手にしてもらえるというのはどんな気分ですか?
A .
海外旅行へ行くと、「オトタケー」とか言われて「呼び捨てにしないでよ」とかちょっと思うんですけど(笑)。「サインしてください」と言われたり、日本に旅行に来ている台湾人に話しかけられたり、サイトにも海外からメールがきますよ。
最初は照れくさかったけど、今は、ありがたいことだと思っています。
Q .
今まで読者からもらったメッセージで一番嬉しかったのは?
A .
「五体不満足」出版前に講演活動で、登校拒否をしていた子が僕の話を聞いて、学校に行くようになったことですね。それは嬉しい知らせでした。
Q .
英語を勉強したり、留学を志して頑張っている英語タウンの読者に、乙武さんからメッセージをお願いします。
A .
最近、野球でもスポーツでも世界で活躍する人材が増えていますが、それはスポーツだけではなく、いろんな分野で日本人の能力やメンタリティーが必要とされる時代が来ているのだと思います。でも活躍する場があって、能力があっても、言葉ができないせいで活躍が妨げられたりする人が多いと思う。これは自分への戒めも含めて(笑)、今後、英語を勉強しておくことは必要だと思います。頑張ってください。
『65
27歳の決意・92歳の情熱 対談・日野原重明×乙武洋匡』(中央法規出版/1,200円)
タイトルの『65』とは、聖路加国際病院理事長・日野原氏と乙武の年齢差である65歳のこと。世代を超えて、注目の2人が「人生の選択」を語りあう。仕事、結婚、家族、老い、死…。「後悔」のない人生とは?
→『65』を読んでみたい人はこちら
→乙武洋匡さんオフィシャルサイトはこちら
Page3は「好きな言葉は『unique』、独特な存在でありたい」