| |
Q:日本語堪能で有名なピーターさんですが、なんとロンドン大学の日本語学科を卒業なさっていたとは知りませんでした。大学で日本語を専攻なさったきっかけは。
A:うーん、大して意味はなかったんですよ(笑)。学校ではラテン語と古代ギリシャ語を7年間、フランス語やロシア語も2年ずつやりました。語学には興味があって、言葉を学ぶのが好きだった。だから大学に行くのを決めた時も語学の分野ぐらいにしか興味が持てなかったんです。親父は理科系を考えて欲しかったけど、イヤイヤ、僕は無駄
でしょうって感じだったし。でも、それまでやっていたヨーロッパの言語をやるならその国に直接行った方が早いし、なんというかもっと珍しい、チャレンジになるようなものにしたいと思ったんです。そんな時、たまたま母親と話していたら何気なく日本語の話が出たことがあって、そこでピーンと来てしまった。母はイギリスとビルマのハーフなんですが、第二次世界大戦の頃にビルマに住んでいたこともあって、ビルマを占領していた日本軍の兵士達との接触からひらがなが読めるようになっていた。それでポロリと出たらしい。その日本語という一言に僕が勝手に反応しちゃった。なんでピンと来ちゃったのか、理由はわかりません。へぇー、面
白そう、じゃあやってみようかって、それだけ。
|
| |
Q:ピンときたカンから始められた日本語、実際にはどうでしたか?
A:語学というのは、まったく新しい世界へチャレンジするというところが面 白い。そのうち壁にもぶつかるんですが、それもまた面白い。でも、問題はその壁の厚さと高さ。僕にとってはそれが漢字でした。漢字は1年目の3ヶ月過ぎたあたりから始めるんですが、最初のうちは週に10とか20の量で、まだやれる。それがそのうちだんだん多くなって週に50も新しいのを覚えることになり、読んで書いて毎週テストがあって・・・。3年半、全部で1500の漢字を覚えなきゃならないから、やっぱりキツい。途中まではすごく面
白かったし、実際に日本語の本が読めるようになると、ずいぶんマスターしてきたゾという達成感もあったんですが、毎週覚えなきゃならないというのはシンドイものがありました。。
|
| |
Q:それが、今では日本語ペラペラ。会話も読み書きもほとんど不自由がないように見えます。どうやって上達したのか、ぜひ教えてください。
A:カンタンな事、その土地に住めば覚えます。僕だって住んでなかったら出来ないままだったと
思います。たとえば中学、高校、大学と英語をやっている日本人なら、3年間英語圏に住めば使えるようになりますよ。
|
| |
Q:ホントですか?
A:ホントです(笑)。もちろん現地に住んでも、周りに家族やコミュニティーがあって英語を使わない環境じゃ話にならないけど、一人で住んで、仕事でも英語を使って、いわゆるイマージョン、自分がその国にどっぷり浸かることが大切。毎日その言語を使ってしゃべって聞いて書いてとやれば、3年どころか1年でだいぶ使えるようになるはずです。
|
| |
Q:でも日本に住んでる外国人で、ピーターさんぐらいしゃべれる人というのも少ないですよね。
A:それは努力がたりない。これはもう何千回もいろんなところでいってることなんですが、語学はやる気が半分。やる気があれば、まず半分はイケてる。反対にやる気がなければ絶対に上達しない。すごく単純なんです。だから、なんとなく趣味で語学を始めたといって身につく人はほとんどいないでしょう? 残りの半分は、いかにプライドを捨てられるか。失敗したくないというプライドがあると語学はうまくならない。
|
| |
Q:ヘタなプライドが邪魔をする?
A:語学はそれが顕著に出るんです。自分のこの発音じゃ恥ずかしい、でしゃべらないとまずダメ。イントネーションが怪しいとわかっていても、間違ってたら直してねとかいいながらどんどん使う。発音でも言い回しでも学校で教えられたのは古かったり、不自然だったりするから今現在その国の人たちが話していることをよく聞いて、オウム(鳥ですよ!)のように繰り返す。理屈でやるんじゃなくて反復作業する。
|
| |
Q:ということは、日本人はシャイだから語学が苦手なんでしようか。
A:というより、教育制度に問題があるんじゃないかな。みんなと同じようにならなきゃダメって洗脳されるでしょう。人と違うことをする=恥ずかしいということになっている。いまだに出る杭は打たれる社会だから、そういう意味では日本人はかわいそうだと思います。誰だって叩かれる杭にはなりたくないし、なったら落ちこぼれと呼ばれる。でも、本当は落ちこぼれと呼ばれる人たちの方が自由なのかもしれない。
|
| |
Q:日本社会の特性が語学力にも影響している、と。
A:あると思いますね。だから語学を身に付けたいと思う人は、とにかく日本を離れて現地に住む。これですよ。
|
明日は『バラカン流・日本との付き合い・ メンタリティ』
|
photo: 清野泰弘(フォトオフィスプラスワン)
|