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映画の原題であるドイツの都市「Munich」、日本語では「ミュンヘン」と言うが、英語では「ミューニック」と発音する。外国人の友達に「ミュンヘン」を観た、と言っても通じないので注意。映画では、中東、ヨーロッパの都市名が出てくるが、Munichと同様、普段、日本語で聞き慣れている発音と英語の発音が違うものがあるので、以下に挙げたものだけでも観に行く前にチェックしておこう。
1972年のミュンヘン・オリンピックで、11人のイスラエル人アスリートが殺された。犯人は、パレスチナのゲリラ。イスラエル政府は、報復を開始する。実際に起きた事件を基に、スティーブン・スピルバーグ監督が『プライベート・ライアン』『シンドラーのリスト』に続いて手がけた、史実を扱った最新作。全米では、2005年12月に公開、アカデミー賞に5部門、ゴールデン・グローブ賞に2部門ノミネートされるなど、社会的な話題となり、注目を集めている。 この映画の背景になっているのは、「パレスチナ問題(A Palestinian problem)」だ。第1次世界大戦時、イギリスが、自国に有利に物事を進めるため、アラブ人とユダヤ人の両方にパレスチナでの建国を支持・約束したことに端を発するこの問題は、現在もイスラエルとパレスチナ自治政府の間で、テロが頻発しており、中東平和に影を落としている。 こういった根深い問題を背景にオリンピックでの襲撃事件が起きる。主人公アヴナー演じるエリック・バナが暗殺チームのリーダーとして任務を遂行するが、人を殺したこともない彼はやがて、見えない恐怖や狂気にさいなまれ、ストーリーが進むにつれて「報復は正しいのか?」という葛藤が大きくなっていく。アヴナーはじめ、その他のメンバーも誰ひとりとして冷酷な殺人マシーンというわけではなく、誰もが「人間」の心を持っている。しかし暗殺を続けなければならない現実、その葛藤は、観る者に、いたましいほど伝わってくる。 主演のエリック・バナが、記者会見で語ったこの映画のコンセプトは、「娯楽性の高いスリラーとしても楽しめること」「報復の連鎖」「純粋さの喪失」そして「故郷(home)」。homeには、家庭という意味もあり、映画でも、アヴナーと妻、そして生まれたばかりの愛しい娘との「家庭」が描かれている。同時に、アヴナーが暗殺した人たちにも、それぞれ「家庭」があり、「故郷」を望んでいる、という対比が観客の胸をざわめかせる。 「誰にでもそういうもの(home)を求める権利がある、非常に大きなテーマだ」とエリック・バナがコメントしているように、観客は何が正しいのか、それを判断するのは非常に難しいだろう。この映画は、イスラエル側が主人公として設定されているが、どちらかの側が正しい、というようには描かれておらず、どちらかに感情移入もできない。ただ伝わってくるのは、人殺しのむなしさ、報復はさらなる報復を生む、という事実だけだ。 重いテーマを扱っているため、観る方にも、それを受け止めるだけの心の準備が必要だが、「平和」というメッセージが胸に深く刻まれる、傑作と呼べる作品だろう。 『ミュンヘン』公式サイト( 日本語 /英語 )
1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中、パレスチナゲリラ「ブラック・セプテンバー 黒い九月」によるイスラエル選手団襲撃事件が起こった。 激怒したイスラエルの機密情報機関である「モサド」は暗殺チームを編成、報復を企てる。リーダーに任命された一人の男、アヴナー(エリック・バナ)。人を殺したことなどない彼は、愛国心と哀しみを胸にヨーロッパに渡る。妊娠7ヶ月の妻を残して…。 他4人のスペシャリストとともに、アラブのテロリスト指導部11人を一人一人消して行くアヴナー。指示を受けるがまま任務を遂行、見えない恐怖と狂気の中をさまよう男たち。私たちは正しいのか? 果たしてこの任務に終わりはあるのか? そして、愛する家族との安らぎの日々は待っているのだろうか…。
エリック・バナ(アヴナー)、ダニエル・クレイグ(スティーヴ)、キアラン・ハインズ(カール)、マチュ−・カソヴィッツ(ロバート)、ハンス・ジシュラー(ハンス)、ジェフリー・ラッシュ(エフライム)