『Christmas Carol』
(Charles Dickens作、Oxford Bookworms版、Macmillan Readers版、Penguin Readers版)
●クリスマスイブの夜に英語で読みたい作品
年に一度のクリスマスクリスマス。この日くらいは、英語学習のことなんか忘れて、家族や友人と楽しいひと時を過ごしたいものですね。
…でも、なかにはクリスマスでも英語学習を続ける勉強熱心な人もいるかもしれません。そんなあなたにオススメの本があります。それは、イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの不朽の名作「Christmas Carol」です。
クリスマスを舞台にした文学作品の代表といえば、この作品。日本語版や絵本などで読んだことがある人も多いかもしれませんね。
しかし、原書を英語で読もうと思ったら、なにしろ今から150年以上も前に出版された小説だということもあり、かなりの英語力が必要です。辞書を引いたりネットで意味を調べたりしながら読んでいると、クリスマスイブの夜に読み始めても、読み終わったらお正月になっているかもしれません!
そんなとき頼りになるのが、英語学習者の強い味方「グレイデッドリーダーズ」。英語学習者のために簡単な英語で書かれていて、多読と呼ばれる英語学習方法にも最適のシリーズです。「Christmas Carol」は、50ページくらい。これなら、クリスマスイブの夜に一人、ふとんの中で読むのにぴったりです。そして、翌朝目が覚めたとき、あなたの人生は変わっているかも? そう、ちょうど「Christmas Carol」の有名な主人公「Scrooge」みたいに…。
●ストーリー
「仕事一筋で心を閉ざし、お金にしか興味がなく、他人も自分自身も不幸にしている悪人Scroogeが、クリスマスイブの夜に現れたクリスマスの霊たちと出会い、自分の過去、現在、未来を見せられ、自分の過ちに気づき、改心する」というのが、「Christmas Carol」のストーリーです。
有名なストーリーで、最後にScroogeが良心を取り戻すというオチもわかっているけれど、読みはじめると物語の世界にひきこまれてしまいます。
ユーモアたっぷりで思わず笑ってしまいそうになる場面も多いのですが、不思議な姿をしたクリスマスの霊が、闇から姿を現す場面などは、かなり怖いです。小さな子供が読んだら、おしっこをちびってしまうかも?
●三冊のグレイデッドリーダーズを読み比べ!
今回、オックスフォードブックワームズ版、マクミランリーダーズ版、そして、ペンギンリーダーズ版の3つの「Christmas Carol」を読み比べてみました。
それぞれに、良さがありました。オックスフォードブックワームズ版は、三つの中でいちばん難しかったです。ネット上で原書が読めるので、分かりにくかったところを確認してみると、どうやら原書で使われている味わい深い表現を、あえて残しているようでした。
オックスフォードブックワームズ版で、特にいいなと思ったのは、物語の最終章です。生まれ変わったScroogeの様子が、ていねいに書いてあります。最後の締めくくりのセリフも、原書と同じです。読み終わったとき、「いいものを読んだな」と、しみじみ感じました。
マクミランリーダーズ版は、サクサクと読みやすいのが特徴です。わかりやすくするために、ほんの少し原書の内容を変えていたりするなど、英語学習者への配慮を感じました。イラストもたくさん載っていて、「これってどういう意味だろう?」と思って考え込まなくても、すんなり読めました。
ただし、マクミランリーダーズ版は他の二冊と比べ、より現代的な言葉遣いで書かれているので、古典作品特有の味わいは薄いかもしれません。挿絵は、マクミランリーダーズ版が一番怖いです。
ペンギンリーダーズ版では、読みやすさと味わい深さが両立しています。レベルが低く、ビギナー向けですが、上級者が読んでも十分楽しめると思います。
ペンギンリーダーズ版で、とりわけすばらしいのは挿絵です。挿絵が五カ所しかありませんが、孤独な主人公Scroogeの姿が描かれた最初の挿絵、みんなに囲まれて幸せそうな最後の挿絵。そして、Scroogeの生き方を変えた三つのクリスマスの霊の挿絵。どれも印象的です。
●廃れかけていた、クリスマスのお祝い
ところで、日本では、クリスマスといえば、サンタクロースやクリスマスツリー、街の飾り付けやイルミネーションを想像するかもしれません。でも、チャールズ・ディケンズの「Christmas Carol」には、クリスマスツリーや、サンタクロースは出てきません。
そのかわり、この日だけは特別な日として、裕福な人も貧しい人も家族みんなで集まり、楽しく過ごす人々の姿が描かれています。そして、七面鳥の料理やクリスマスプディングを味わいながら、この日ばかりは普段嫌っている人の幸福も祈って乾杯します。
そんな、心の中に深く根付いたクリスマスの光景が、とても印象的です。でも、実はこの本が出版された当時のイギリスでは、そんなふうにクリスマスを祝う風習は、廃れかけていたといいます。
当時のイギリスの大都市では、産業革命の結果、一部の非常に裕福な人たちが生まれる一方で、同時にたくさんの貧しい労働者が生まれました。その結果、たくさんの子供達も、学校へ行かずに工場で働かなくてはならなかったのです。「Christmas Carol」の作者ディケンズも、幼い頃に父が借金を返済できずに牢屋に入れられ、12歳のときに靴墨工場で働きはじめるなど、苦しい生活を経験しています。
「Christmas Carol」の物語には、クリスマスだけは社会の不平等や生活の苦しみから離れて過ごせる特別な日であってほしいという、作者の願いがこめられていました。その年のクリスマスに間に合うように大急ぎで書き上げられた「Christmas Carol」を読んだ当時の人たちは、廃れかけていたクリスマスの文化を思い出して、再びお祝いするようになったのだそうです。
ちなみに、「Christmas Carol」の主人公の名前「Scrooge」は、「お金に執着するケチな人」という意味の英単語にもなっています。仕事一筋でScroogeみたいになっている人、現代にもいるかもしれませんね。そんな人も「Christmas Carol」を読み終わったら、merryな気持ちになっているはず。そして、Merry Christmasという言葉も、今までと違って心に響くはずですよ。
●クリスマスプレゼントにいかがですか?
じっくり読むならオックスフォードブックワームズ版、手軽に読むならマクミランリーダーズ版、挿絵の美しさならペンギンリーダーズ版がおすすめです。
グレイデッドリーダーズは、全国の大きな書店のほか、英語タウンの姉妹サイト「英語ストア」でも売っています。英語ストアなら割引価格!
今年のクリスマスは、英語が好きな友達や自分自身に「Christmas Carol」をプレゼントしてみてはいかがでしょう。(編集部Y.D.)
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